表参道、代官山、恵比寿…“広域渋谷圏”創出がカギ 

 渋谷の再開発では駅周辺に出現するオフィスを中心とするタワービルの数、2027年までと長期にわたる開発期間が話題になっているが、実はこの開発の肝はそこではない。

 ポイントは再開発で登場する駅周辺の建物によって渋谷と周辺の街をつなぎ、“広域渋谷圏”を作ることだ。スリバチの底から建物が立ち上がり、表参道や原宿、恵比寿、代官山にフラットに行き来できるイメージだ。

提供:渋谷駅前エリアマネジメント協議会
提供:渋谷駅前エリアマネジメント協議会
[画像のクリックで拡大表示]

 その意図を分かりやすく伝えるのが、2016年10月24日に記者発表された渋谷宮下町計画と渋谷駅南街区だ。

 再開発事業の中心となる6つのプロジェクトのうち、2017年春に開業予定の渋谷宮下町計画「渋谷キャスト」は最も北側。明治通りを挟んで宮下町公園と向かい合い、建物の目の前はキャットストリート。渋谷と原宿、表参道をつなぐ、流行が生まれる通りだ。

 その立地を意識し、渋谷キャストは“クリエーターのための場”をうたう。一般的なオフィスに加えてシェアオフィスを配し、フリーランスのクリエーターやスタートアップ企業などが利用しやすいようになっているのだ。13~16階に用意された住宅フロアには、水回りなどを共用することで賃料を抑え、借りやすくしたコレクティブハウスもある。1階、建物前にはイベントなどに使える広場、多目的スペースも作られる予定。

2017年春に開業予定の渋谷宮下町計画「渋谷キャスト」
2017年春に開業予定の渋谷宮下町計画「渋谷キャスト」
[画像のクリックで拡大表示]

 一方、再開発エリアの南側、渋谷川沿いの渋谷駅南街区には、同じくクリエーティブワーカーに選ばれる環境を目指す複合施設「渋谷ストリーム」が2018年秋に開業予定。以前、東急東横線渋谷駅があった場所で、これまでは首都高と国道246号で分断され、訪れる人の少なかったエリアだ。

 そこでこのビルでは地下で東急各線、東京メトロの渋谷駅とつながるのはもちろん、JR渋谷駅と国道246号を横断するデッキでつなぎ、将来的には新設されるJR渋谷駅南改札(仮称)とも直結する予定。山手線の内側、外側をつなぐ東西自由通路も計画されており、人気の少ない渋谷駅南エリアに日の目が当たることになる。

渋谷駅南街区に建設予定の複合施設「渋谷ストリーム」
渋谷駅南街区に建設予定の複合施設「渋谷ストリーム」
[画像のクリックで拡大表示]

 さらに広域渋谷圏構想にとって重要なのは、渋谷川沿いに約600メートルもの遊歩道が作られる点。これにより、これまでの渋谷になかった水辺空間が生まれるのはもちろん、渋谷駅から代官山方面に抜けられるようになる。

 つまり、渋谷キャストと渋谷ストリーム、この2つのビルが渋谷駅を中心に北は原宿、表参道、南は代官山をつなげるための拠点というわけだ。2012年に開業した渋谷ヒカリエの2階部分が東西を貫いて青山方面への通路となっているように、渋谷再開発においてビルはオフィスや商業施設など人を集める存在であると同時に、街をつなぐ結節点でもあるのだ。