スリバチ状のハンディーを再開発で逆転

開発が進む渋谷駅周辺エリア
開発が進む渋谷駅周辺エリア
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 渋谷、新宿、池袋。副都心と呼ばれる3つの街のうち、渋谷だけが地形的に大きなハンディーを負っている。地形図を見れば分かるが、新宿、池袋は駅が台地上にあり、周辺は比較的平坦。そのため、街の拡大が容易で、例えば新宿は年を追って西側に拡大、現在では西新宿の大半の地域、神田川の手前にまで高層ビル群が建設されている。

 ところが渋谷はスリバチ状の谷底に駅があり、表参道、原宿、代官山その他周辺のどの街に行くにも坂に阻まれる。街として拡大したくても、拡大すべき土地がなかったのだ。しかも、その駅に大正期以降4社8路線が乗り入れ、現在は地下5階、地上4階に駅施設が迷路のように重なる。約350メートル、同じ駅とは思えないほど離れている山手線と埼京線・湘南新宿ライン、乗る場所と降りる場所が全く違う銀座線など、渋谷駅の使い勝手の悪さは挙げだしたらきりがないほど。バリアフリーにも対応できていない。

 加えて、前回の東京五輪のときに急造された国道246号がJRと交差、これが渋谷を東西南北に分割している。そのため、渋谷を訪れる人の90%はハチ公前広場を経てスクランブル交差点を渡り……と、渋谷の“4分の1”を楽しんでいるだけ。街は分断され、残りの4分の3は渋谷として認知すらされていない状態だ。

 それ以外にも地形の制約は渋谷の街にさまざまなデメリットを及ぼしている。例えば、渋谷にはハチ公前広場以上の広場も公園もない。駅前のバスターミナルには空港や日本各地へのバスを集めるだけの余裕がない。一時期はITベンチャー企業が集積していた「ビットバレー」として注目されたが、広いオフィスがないため、成長後は渋谷を離れていく企業が続出、など。

 そうしたマイナスを一気にプラスに転換しようというのが、渋谷大改造というわけだ。