プロジェクトやアイデアを達成または実現するために、ネットを使って資金調達をする「クラウドファンディング」。誰もが耳にするようになり、今や中小企業だけでなく大企業からも注目されている。そんなクラウドファンディングのプラットフォームを提供するMakuakeと+Styleの代表者が、TREND EXPO TOKYO 2016でクラウドファンディングの現状とこれからを語った。

新しいものづくりの進め方を実現

 Makuakeはサイバーエージェントのグループ会社。クラウドファンディングについては、日本から思い切った新しいものを製品化しやすくする土壌になるのではないかと、中山亮太郎氏が起ち上げた。中山氏はMakuakeを、プロトタイプとデザインの段階で、ものを予約販売できるプラットフォームだと説明する。

中山 亮太郎氏 サイバーエージェント・クラウドファンディング 代表取締役社長
中山 亮太郎氏 サイバーエージェント・クラウドファンディング 代表取締役社長
近藤 正充氏 ソフトバンク 「+Style」事業責任者
近藤 正充氏 ソフトバンク 「+Style」事業責任者

 量産段階に入る前にキャッシュが手にできるほか、マーケティングやプロモーション、販路の拡大にも役立つという。つまり、これまでは製品ができてから行わなければならなったさまざまな作業を、前倒しで進行できる。クラウドファンディングが、新しいものづくりの進め方を提供できると主張した。

 一方の、ソフトバンクの+Styleは、主にIoT(モノのインターネット)製品を世に送り出すことを目指したプラットフォームだと、事業責任者の近藤正充氏は語る。ソフトバンクでは、2040年までに一人当たり1000個のIoT製品を所有するようになると想定している。だが、ソフトバンクグループだけでは、IoT製品の市場を拡大するには限界がある。そこで、コンセプトやプロトタイプ作り、量産試作、Web販売や流通まで、アイデアや技術を持った企業をサポートすることで、IoT製品の市場を盛り上げたいのだという。

中小のメーカー以外にも利用企業が増える

 これまでの傾向で、クラウドファンディングで成功しやすいのは「製品がユーザーに与えられる体験をイメージさせられるもの」だと中山氏は解説する。この点で紹介されたのが、博報堂が手がけてMakuakeで人気を博した「Pechat(ペチャット)」だ。ぬいぐるみに、製品を取り付けてスマートフォンで操作すると、まるでぬいぐるみが話をしているように音声を発するというスピーカー付きのボタンだ。何ができるのかを説明しづらい製品だが、動画をはじめ画像や説明文など、Webだからこその多彩な表現方法でPechatがもたらす体験をイメージさせることができたという。

 +Styleの近藤氏は、博報堂が参加している点に着目。「これまで、中小のメーカー企業が出品することが多かったですよね。それがPechatでは、ものづくりではなく、マーケティングに強い博報堂がやられているのが面白い」とコメント。

 一方、+Styleでは、オリンパスの光学技術を活用した米国発の自転車用ウエアラブルグラス「Solos(ソロス)」や、電子回路が印刷されている長方形の紙を筒型に巻くと手持ちライトとして使える「Paper Torch(ペーパー・トーチ)」など、斬新なプロダクトが紹介された。特にPaper Torchは、佐藤オオキ氏が率いるデザイン事務所「nendo」と共同企画したもので、「DoT.(Design of Things、ドット)」シリーズとして、今後アイテムが追加されていくという。

 こうした例以外にも、異なる技術を持つ2つのメーカーがコラボレートした実例や、MakuakeではソニーやJVCケンウッドなどの大企業も、クラウドファンディングを活用し始めている例も紹介された。

 クラウドファンディングは、年々認知度を上げているとともに、さまざまな使い方が模索されている。中山氏は「ものづくりにおける製造革命みたいなものがクラウドファンディングを使って起きつつある。ここをもっと広げていき、面白い商品が世に出てくる環境を作っていきたいです」と締めくくった。

クラウドファンディングは「ものづくりの製造革命」(画像)
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(文/河原塚英信、写真/後藤光一)