「きっかけ」と「後押し」になるVR

 エイチ・アイ・エスによると、このVRコーナーを設けたのは、「VRが旅へのきっかけを生み出すツールになる」と考えたからだという。ハワイは非常に人気が高く、リピーターも多い旅行先だ。そこで、ハワイ専門店では、旅行の予約や相談を受け付けるだけでなく、ハワイアン雑貨の販売やハワイ関連のワークショップを実施するなど、気軽に立ち寄り、ハワイの魅力を楽しめる店舗にすることを目的にした。VRを導入したのも、ほかの店舗にはないVR体験を来店のきっかけにするためだ。

 オープンから1年半ほどになるが、VRを目当てに訪れる人が後を絶たない。土日ともなると、来店者が入れ替わり立ち替わり体験していくという。来店のきっかけを促すツールとしては、十分な役割を果たしている。

 VR体験で旅の気分を盛り上げることで、実際に現地に行きたい、旅行プランを申し込もうという気持ちを後押しもできる。また、旅のイメージが具体化することで、顧客が自分のニーズに合ったプランを選びやすくなるメリットもあるようだ。というのも、従来からあるカタログや写真、動画によるプロモーションでは、売り手側が見せたい部分のみを見せる形になり、それを見て旅行に行っても、顧客からは「想像していたのと違う」という不満が出かねない。それに対して、360度動画では顧客に見たい部分を自分で選んで見られるので、「想像していたのと違うという反応を減らすことにつながっているのではないか」(エイチ・アイ・エス広報)とVRの効果を分析する。

 2014年にはハコスコのような簡易的なVRゴーグルを使ったプロモーションを開発、旅行関連の展示会に出展したこともあるが、「当時はまだVR自体が知られていなかったため、話題にならなかった」(エイチ・アイ・エス広報)。だが、今回のハワイ専門店舗に設置したVRコーナーの反応は良い。もちろん、VRの認知が上がったこともあるが、360度動画を簡易的なものではなく高画質にした点も大きいといえそうだ。VRといえども、顧客の期待を裏切ってはいけないということだろう。

 現時点でVRコーナーを常設しているのはハワイ専門店のみ。だが、期間限定で他店でもVRコーナーを設けたり、2016年9月に開催された旅行関係の展示会では360度動画を使ったイタリア、スペイン旅行の説明会を先行公開したりしており、今後、各店舗でも随時、導入を検討していくという。