米Sony Interactive Entertainment社は、東京ゲームショウの直前の2016年9月上旬に新しい「PlayStation 4(PS4)」を2種類発表した。従来のPS4の性能をそのままに小型・軽量化したもの(CUH-2000シリーズ、2016年9月15日発売)と、4K映像を出力できる「PlayStation 4 Pro(CUH-7000シリーズ、2016年11月10日)」である。この新しい2機種に加えて、従来のPS4でも、映像の輝度の幅を広げる「HDR(High Dynamic Range)」に対応する。こうした新しいPS4の機能がゲームにどのような影響を与えるのか。同社のゲーム開発のキーパーソンであるWorldwide Studios プレジデントの吉田修平氏に、話を聞いた。

――4K映像やHDRになると、ゲームにどのような効果をもたらすのか。

 これまでゲーム機は、SD画質からHD画質(720p)、フルHD画質(1080p)と進化してきた。4K対応は、その流れの延長と言える。そもそも、ディスプレーも4K化が進んでいるので、ゲーム機が対応するのも自然な流れだろう。

HDRも、よりゲーム映像をきれいにする。中でも、現実にある自然な風景のゲーム画像がよりリアルに見える。

 フルHDから4Kになると、例えばゲーム内の遠方にいる敵キャラクターを発見しやすくなる。ゲーム内のフィールドに描かれた草や岩肌などがよりきれいに見える。

現実にある自然な風景のゲーム画像がよりリアルに見える。

――4KやHDR対応は、ゲーム開発者の負担が大きくなるのではないか。

 これまでの1080pのPS4向けゲームでは、かなり性能がいい「アセット(ゲームの素材)」を利用していたので、映像が4Kになっても、作業負担などは従来とそれほど変わらない。HDRに関しても、もともとHDRクオリティーでソースとなるゲーム映像を作り、それを従来のHDRに対応していないテレビ向けに映像を調整していた。なので、PS4シリーズがHDR対応になることで、ゲーム開発者の負担はほとんど増えず、元々作っていたソースの映像に近い映像をユーザーに提示できる。

――これまで発売したものを含めて、PS4シリーズすべてでHDRに対応するのは、それだけゲームにいい影響を与えるからか?

 そうだ。極論すれば、4K映像を離れた位置から見ると、フルHDとの違いは分かりにくくなる。一方で、HDRによって向上した画質は、やや離れた位置から映像を見ても変わらない。

 ただし、4KもHDRも、ディスプレー側が対応していないと、ユーザーは見られない。

――PS4 ProとPS4で、PS VRのゲーム体験は変わるのか?

 ゲーム体験は変わらないようにしている。

――今回の東京ゲームショウに出展するゲームで、オススメは?

 (強いて挙げると)2017年3月に発売予定の「Horizon Zero Dawn」だ。いわゆる「オープンワールド」系のゲームで、生物のような機械と戦う。それから、PS VR用ゲームはどれも今年の目玉と言える。

(文/根津 禎=日経エレクトロニクス、写真/中村宏)

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