ガジェット好き=肉好き!?

編集部: クラウドファンディングで成功するプロジェクトの鍵を挙げていただけますか。

中山氏: 実は、ターゲットにコンセプトがわかりやすく伝わっていること、それに尽きるんです。人にふと語りたくなる特徴を持っているかが、大きなポイント。クラウドファンディングで扱うモノは、まだ世にないプロダクトなので、何となく見た目がかわいいという製品よりも、一言で友達に紹介できる強い「語りポイント」が1個あることのほうが重要で、これが成功プロジェクトの共通点だと思います。

「+Style」事業責任者の近藤正充氏
「+Style」事業責任者の近藤正充氏
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近藤氏: 同感です。単機能で、「これができます」としっかり主張できるモノのほうが明らかに反応は良いですね。IoTといっても、「これもあれもできます」という製品は説明しづらいし、結局何ができるのかわからない。それよりも、触ったら色が変わるルームライトとか、おやつが飛び出すドッグカメラといった、本当に一言で機能と良さが伝えられる製品が人気になりますね。

編集部: 成功の秘訣については、11月11日(金)12時からの講演で具体的な事例をもとに語っていただけるということで、よろしくお願いします。  話は変わりますが、現状クラウドファンディングを活用しているユーザーについては、どのような傾向が見られますか。

近藤氏: +Styleの利用者は、30代~40代が中心で、男性が若干多い。総じてガジェット好きが集まってくれている印象です。

中山氏: Makuakeは20代中心と思われがちですが、30代がボリュームゾーンなんです。感覚値としては、斬新なアイテムを買って他人と違いを見せたいコンシューマーが多くて、その内訳は新しいモノ好きのトレンドセッターと、フォロワーがいます。フォロワーは、他人と違いを見せたいけど少し安心感も得たいといった層で、プロジェクト公開後すぐに支援するのではなく、支援額が100万円を超えた辺りから動き出すイメージですね。

近藤氏: Makuakeはモノ系プロジェクトだけではなく、映画や飲食店などのプロジェクトもありますが、それぞれに反応する層がいるという感じですか。

中山氏: 意外にも横軸での体験が進んでいますね。飲食店ではローストビーフ食べ放題などのプロジェクトを実施してきたのですが、実は「ガジェット好きは肉が好き」という傾向が見えてきています(笑)。斬新なハードウエアを欲しがるだけではなく、アナログな製品や飲食店のプロジェクトにも積極的に関わっていく。新しい消費トレンドを持つ層が集まっているのかなと思います。

近藤氏: クラウドファンディングに対するユーザーの意識はどうでしょうか。例えば、「製品の配送が1カ月遅れます」というときに、海外ですと待ってくれるユーザーが多い印象ですが、日本のユーザーは厳しいイメージがあります。これは、クラウドファンディングにとっては変えていくべきところだと思っています。

サイバーエージェント・クラウドファンディングの中山亮太郎社長
サイバーエージェント・クラウドファンディングの中山亮太郎社長
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中山氏: 以前は、きちんと期日に製品が届くことがサービスの肝になると思っていたのですが、最近見ていると、プロジェクトの実行者が支援者に対してしっかりと遅れる理由を説明すると、製品のお届けが多少遅れても、むしろユーザー体験が上がることがあります。もちろん、期日に届くに超したことはないのですが、日本の厳しい「技適マーク」を取得するのにこういう事情で遅れているなどと裏表なく報告すると、逆に支援者コミュニティでの“世論”が応援モードになる。これは、芸能人のブログを毎日読んでいるとテレビを見るより親近感がわいてくる、相談されるとその人のこと応援したくなる心理と一緒で、日本ならではの現象だと思います。  ただ、もちろんあまりにも配送が遅れることのないよう、親会社であるサイバーエージェントと連携を取りながら審査はしっかりとしており、最近ではその知見も溜まってきています。

近藤氏: しっかりとユーザーを組織化できているということですね。正直、米国ではクラウドファンディングで支援しても1年遅れたり、結局モノが届かなかったりすることもある。海外の人は「しかたないね」で終わらせる雰囲気がありますが、日本で同じことをしたらアウトです。そのようなことがないように、我々の+Styleでも事前審査の段階で「実際に作れるのかどうか」をしっかり判断していますが、ここは確実に守っていきたいですね。

編集部: ものづくりのプラットフォームとして、最近特に力を入れている部分はありますか?

近藤氏: リテールにどうつなげるかが重要だと思っています。+Styleでのテスト販売やプロジェクトを行って、たった100個製品を売って終わりではダメで、実際のリテールで売るためにどう値付けをし、量産展開していくかをサポートしなければならない。そうすることが、ものづくりメーカーの利益になると思いますので、リテールを強化していきたいですね。

中山氏: Makuakeでは伊勢丹新宿本店や、東急プラザ銀座内のHANDS EXPOなど、リアルな場所でMakuake発の製品やサービスを展示・販売しています。やはり実際にモノに触れたり、体験することは重要だと思っていて、面白くて新しいモノが、ネットで見るだけではなく、実際に触れられるからこそ、顧客の「買いたい」とか「応援したい」という“熱量”が上がっていると思います。  また、流通側でも実際に顧客の反応が良かったMakuake製品の取り扱いを決定するなど、Makuakeと流通販路で連携を取り、製品の販売先が決まる事例も増えてきています。

近藤氏: 先日、東京ミッドタウンで行ったイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2016」に+Styleで扱う40弱の商品を展示したのですが、ひっきりなしに人が集まって、その関心の高さに驚きました。やはり、見て触れるという体験は重要ですよね。

編集部: 最後に、クラウドファンディングは今後、どう進化していきますか。

近藤氏: 利用が加速していくのは確実です。モノを作っている人だけではなくて、サービスやアプリケーション開発をしている業種からのプロジェクト申し込みも増えるでしょうし、中小企業や地方企業の参入も、もっと増えると思います。

中山氏: まず、お金の出し手であるユーザーへの浸透は進むと思います。面白いモノをいち早く手にし、そして作り手側との距離がちょっと近い。そんな消費体験は今の時代に合っています。

 一方で、使い手となる企業の方は、作る能力が豊かなメーカーが次々に使い始める。作る能力はないがアイデアはあるという層についても、量産サポートなどを行うエコシステムが整いつつありますので、今後のポテンシャルは間違いなく大きい。今後は、そういったいろいろな形でのメーカーが生まれ、新しいものづくり企業が爆発的に増えていくことでしょう。

編集部: これからもお二方のクラウドファンディングでは魅力的なプロダクトがいくつも出てくると思います。その辺りは11月11日[金]12時からのご講演のなかで、参加者の方だけに特別にお知らせいただければと思います。

近藤氏、中山氏: わかりました。どうぞよろしくお願いします。

(文/日経トレンディ編集部)

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