際立つ個性を放つ製品・サービスが生まれる場として存在感を増している「クラウドファンディング」。クラウドファンディングは、ニッポンのものづくりをどう変えていくのか。また、支援者の支持を集めるプロジェクトの共通項とは何か。11月11日(金)12時~13時に「TREND EXPO TOKYO 2016」に登壇する注目プラットフォームの運営者が事前対談を行った。

サイバーエージェント・クラウドファンディング
代表取締役社長 中山亮太郎氏
ソフトバンク
「+Style」事業責任者 近藤正充氏
編集部: まず、お二人がクラウドファンディング事業を立ち上げたきっかけを教えてください。
中山亮太郎氏(以下、中山氏): 私は、2010年からサイバーエージェント子会社のベンチャーキャピタルでベトナムに赴任していたのですが、ふと気付くと、パソコンもケータイも家電も、日本メーカーの製品をなかなか使わなくなった自分がいました。私だけではなく、周りの人もほとんど使っていなかった。海外で生活するなかでの肌感覚として、「『ものづくりニッポン』と言われるけど、本当にそうなの?」と疑問を抱いたのが出発点でした。
もちろん技術力自体や、ものづくりに従事する人の質、数も含めて日本がトップランクであることは疑いようがない。ただ、新しい価値を持った製品を生み出しづらい環境にあるのではないかと。もっと新しいモノを生み出せる土台を作れないかと考えていたなかで、海外でクラウドファンディングが立ち上がっているのは知っていたので、これを日本でやってみたいと思いました。そうして日本に帰ってきて、13年8月に立ち上げたのが、「Makuake(マクアケ)」です。
近藤正充氏(以下、近藤氏): 私は2013年から約2年間、米国のシリコンバレーで業務しておりました。現地では、海外のクラウドファンディングサービスが多くあり、乱立している状態でした。赴任時は、自分自身で現地のクラウドファンディングを通してモノを買っていましたし、イノベーティブで便利なモノが多いことに生活者として感心していました。
15年に日本に帰ってきたのですが、海外のクラウドファンディングサービスのような新しいモノが生まれるプラットフォーム、仕組み作りをしたいと考えて、今年満を持して「+Style」を立ち上げました。ものづくりがドライブするための仕組みとして必ずしもクラウドファンディングだけがゴールではないので、私たちはIoTに関連した新製品開発を支援するプラットフォームとして、製品の企画段階(プランニング)から出資(クラウドファンディング)、販売(ショッピング)までをカバーすることを特徴としています。