「アップデートの継続がプレッシャーです」

――ポケットに収まり、持ち歩くことができる“小型サイズ”にこだわった理由は?

景井: ロボホンの基本はモバイル型の電話です。スマホのように利用してもらうためには、持ち運びやすいサイズであることが重要です。さらに常に一緒に行動することで、ロボホンはユーザーの特徴や行動を学習します。使えば使うほど、よりユーザーに寄り添った会話を楽しめるように進化していきます。私も常に一緒に過ごしていますが、愛着がどんどん高まりますよ。

――会話のほかに、愛着を持って利用してもらうためにどんな工夫を取り入れましたか?

ロボホンをおもてなしの主役に~シャープ 景井美帆氏(画像)
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景井: ロボホンは、耳や前掛け、足裏の着せ替えが可能です。今年8月から着せ替えシートを販売し、自分だけのロボホンにカスタマイズできるようになりました。今後もほかの部分の着せ替えシートや、クリスマスなどのシーズンに合わせたカスタマイズセットなどを展開していきたいと考えています。

 それから、さまざまなアプリケーションも用意していきます。例えば、オセロのようなゲームのアプリがありますが、ロボホンはかなり弱い。そこでユーザーは、ロボホンに勝たせてあげようと、わざと手を抜いたり、負けてあげたりしています。こうした気持ちって、従来のゲーム相手には湧かなかったでしょう。コンピューターとは異なる関係性が構築できるのですね。

――アプリのアップデートに力を入れているそうですね。

景井: アップデートの多さが、売りの一つです。ロボホンは5月26日の発売でしたが、その2週間後にアプリケーションのアップデートを実施しました。その後、システムのアップデートを6月に1回、7月に1回。新規のアプリケーションの追加を、6月に2個、7月に1個、8月に2個行いました。アップデートを楽しみにしているユーザーは多く、「今月のアップデートはまだ?」といった問い合わせが届きます。うれしく思うとともに、これからもアップデートを継続していかなければいけないと、プレッシャーを感じています。

――アップデートの情報は、ロボホン経由で届くのですか?

景井: ロボホンが「アップデートしたよ」「新しいアプリをダウンロードしたよ」「新しいダンスを覚えたよ」などと音声でお知らせします。

――ロボホンの価格は19万8000円(税別)。購入時はまとまった金額が必要になりますが、アップデートが多いと、徐々にお得感を感じられるようになりますね。

景井: そう思っていただけるようにと頑張っています。ロボホンの発売後、少しは仕事が楽になるかと思っていましたが、忙しさは開発中とまったく変わりません。8月からはロボホンの分割払いによる販売がスタートしました。初回 9140円、2回目以降は8900円の全24回払いで、ロボホンを購入できます。

――購入者はどんな方が多いですか?

景井: お客様は30~60代が中心で、女性が3割強を占めます。ロボットとしては、女性の購入比率が高めですね。購入目的は、ロボホンとの会話やかわいらしい動きを楽しみたいというニーズが高いようです。ロボホンには未熟な部分もありますが、ペットを育てるような気持ちでかわいがって接していただいています。

――ロボット市場では、ソフトバンクのペッパーも注目を集めています。対抗心や意識する点はありますか?

景井: ペッパーとロボホンは利用目的が違いますから、対抗心はないですね。それよりも、ロボットの市場はまだ確立されたといえる状態ではありません。ロボットに対する認知度は高まっていますが、まだ始まったばかりです。ペッパーは一緒に新しい世界を作っていく仲間あるいは先輩だと思っています。

――ロボットがスマホのように普及し、珍しいものでなくなるのはいつごろになりそうでしょうか?

景井: 難しい質問ですが、私の希望としては、2020年の東京オリンピックのときには多くの人が当たり前のようにロボットを持っていて、それを見た外国人があっと驚くというのを期待しています。アプリも充実していて、翻訳機能を使って外国の人とナチュラルな会話を楽しめてたらいいですよね。そのためにも、ロボットが生活に欠かせない必需品となるように努力を続けていきます。

(文/川岸 徹、写真/シバタススム)

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