医薬品の登場でサプリメントへの興味が拡大

 一方、記憶力サポートのサプリメントを扱うアサヒグループ食品は、物忘れ改善薬の登場をどう捉えているのだろうか。

「シュワーベギンコ イチョウ葉エキス」30日分90粒入り、4900円
「シュワーベギンコ イチョウ葉エキス」30日分90粒入り、4900円
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 同社ヘルスケアマーケティング部の山本直樹担当課長は、医薬品の登場によって市場全体が盛り上がるのではないかと考えている。記憶力を維持する機能があるイチョウ葉エキスを用いた「シュワーベギンコ イチョウ葉エキス」は2008年4月に発売。60~70代がボリュームゾーンだったが、2016年2月に機能性表示食品としての取り扱いを始めたことで50代の構成比が上がり、売り上げが上昇(栄養補助食品としての販売も継続)。さらに、ロート製薬のキオグッドが発売された2017年4月以降にも売り上げが大きく伸びたという。その理由を「記憶力に対する消費者の興味が増した結果ではないか」と山本担当課長は分析する。

サプリメントは市場で生き残れるか

 小林製薬と同様に、医薬品であることがサプリメントとの大きな差異であり強みであるとロート製薬も考えている。だが、「キオグッド発売前はサプリメントからのスイッチが多いのではないかと考えていたが、実際は7割がサプリメントを経由しない新規ユーザーだった。漢方が得意にしてきた『未病(病気ではないが健康でもない状態)』ユーザーが取れているのではないか」と墨田マネージャーは分析している。

 物忘れ改善薬が店頭で盛り上がることで、サプリメントの存在を知るという人もいるだろう。墨田マネージャーは、サプリメントと医薬品の違いを理解して選ぶユーザーも多いのではないかと話す。同社ではサプリメントと医薬品両方のカテゴリーで関節痛に関する商品を取り扱っているが、売り上げは同程度。サプリメントに物足りなさを感じていた人は薬を、薬に抵抗感がある人はサプリメントを選ぶのではないかと考えているそうだ。医薬品とサプリメントのどちらを選ぶかはユーザー次第だが、記憶力の低下や物忘れに悩む人にとって選択肢が広がったのではないだろうか。

 一方、物忘れは症状によっては認知症の可能性もあるため、厚労省は医療機関の受診もうながしている。「アルツハイマー型認知症などは脳の器質的障害による不可逆的なもの、つまり元には戻せない状態であるのに対し、物忘れは対処できることもある」(厚生労働省老健局総務課・認知症施策推進室)。気になる症状がある場合、まずは医療機関で認知症の心配はないと診断されてから市販薬やサプリメントを試すというのも一つの手だろう。

(文/樋口可奈子)