チャンネルが増えすぎて番組を探せない

 実は、みんなの予約ランキングは2014年11月のモデルから同社のレコーダーに搭載していたのだが、これまでレコーダーでの利用率は低かった。「せっかく便利な機能でも複雑になったクロスメディアバーの中では埋もれてしまい、ユーザーが気づいていなかったのだと思う」(今井氏)。

 実際、同様の機能を持つスマホ向け番組表アプリ「Video & TV SideView」での利用率はユーザーの約9割に至る。しかもその半数は、みんなの予約ランキングから番組詳細画面まで見ているという。これは、Video & TV SideView内のみんなの予約ランキングから番組を探すユーザーが多いということだ。

 Video & TV SideViewは、外出先からテレビ番組を録画予約したり自宅のレコーダーで録画した番組を持ち出したりするためのアプリだ。従来の発想では、見たい番組を録画予約し忘れたのを思い出して、外出先から予約するという利用シーンが連想される。だがそれだけでなく、外出先での空き時間になんとなくVideo & TV SideViewを立ち上げ、予約ランキングを見て、そこで見つけた気になる番組を予約するパターンもかなりあると見ている。

 この状況について、「今は、見る番組が多すぎる」と今井氏は指摘する。かつては地上波だけだったテレビはBS/CSなど衛星放送、ケーブルテレビなどが増え、さらにネットの動画配信サービスなども加わって、ユーザーが選べるチャンネル、番組の数は膨大になっている。

 「昔は新聞のテレビ・ラジオ欄を見て録画予約していた。しかし今は、それでは見たい番組を探せない。ユーザーからも『面白い番組がない』という声をよく聞くが、見たい番組を見つけられなくて半ばあきらめている側面もあるのではないか」(今井氏)

番組表では番組タイトルを省略せず、すべて表示。番組内容の表示量も増やして番組を見つけやすくした。大画面テレビを使う人は文字サイズを小さくすることで、一覧性を高められる
番組表では番組タイトルを省略せず、すべて表示。番組内容の表示量も増やして番組を見つけやすくした。大画面テレビを使う人は文字サイズを小さくすることで、一覧性を高められる
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 事実、テレビの視聴時間が減少していると言われているが、それはリアルタイムで見ている時間のことで、録画して視聴する時間は逆に延びており、レコーダーの使用時間は延びているともいう。とりあえず録画だけしておいて、後で見るか判断するという人が増えているのだ。

 「探せないものに対してどうサポートしていくかは一つの課題」と今井氏。この問題には、他社もそれぞれに取り組んでいる。例えば、パナソニックは「全自動DIGA」という機能で、28日間分の番組を“すべて録画する”方法を採用している。一方で、NHKが運営する「NHKオンデマンド」や在京民放5局が提携した「TVer(ティーバー)」のように見逃した番組を後から視聴できるオンデマンド配信サービスもある。

 今井氏は「過渡期だ」と前置きしたうえで、「全部録画すると、後から探すのが大変で、録ったはいいが見ないといういこともある。オンデマンド配信は、見たい番組をユーザーが能動的に見行かなければならない。僕らとしては、“録りたいものだけ録る”というスタンスでやりたいと思っている」。

ソニーのホームエンタテインメントプロダクツマーケティング部ホームビデオMK課マーケティングマネジャーの今井信祐氏
ソニーのホームエンタテインメントプロダクツマーケティング部ホームビデオMK課マーケティングマネジャーの今井信祐氏
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 現在は、新たに押し出すみんなの予約ランキングに、タレント名やキーワード、ジャンルを登録すると関連番組を自動録画してくれる「おまかせ・まる録」を併せることでそれは可能だと考えている。

 ユーザーのライフスタイルやメディア環境の変化で逐次変わるユーザーとテレビの付き合い方。レコーダーはただ見たい番組を後で見るためのものではなく、テレビとの付き合い方まで提案するフェーズに入っているようだ。

(文/湯浅英夫=IT・家電ジャーナリスト)