任天堂のIPの持つ世界観を守りながらライセンス

──任天堂の遊びを知ってもらうためにIPを利用する。そのためには、御社側から積極的にIPの活用を働きかけるということですか。

高橋氏 そうです。これまでは、任天堂のIPをライセンスしたいという申し出を受け、そのニーズに応える形で許可を出してきました。しかし、これからは、任天堂のIPを広げるため、こちらから働きかけることも考えていきます。

──IPをさまざまな領域に広げていくと、IPが持っていた世界観が崩れないように、展開先の商品などをコントロールする必要がこれまで以上に生じます。御社の場合はどなたがその役割を果たすのですか。

高橋氏 大きな意味では私です。今から十数年前、家庭用ゲーム機「ニンテンドウ64」「ニンテンドー ゲームキューブ」を出していたころ、マリオをほかのゲームソフトメーカーや協力会社に扱ってもらうことが多くなってきた時期がありました。その時、私がそれぞれの開発会社にちゃんとしたマリオを作ってもらうためのキャラクター管理チームを立ち上げました。私はもともとドット絵を描く“絵描き”出身で、そこから3DCGのデザイナーを経てゲームディレクター、ゲームプロデューサーを務めるようになったので、マリオらしくないマリオを見るのは気持ち悪かったんですね。だから、平面に描いたときはこう、立体で見せたときはこう、イラストで描くときはこう、という具合に、「標準のマリオ」を作って先方に渡し、マリオの統一感を守りました。このときの経験があるので、世界観を守りながらIPをライセンスしていくことについては、あまり心配はしていません。

──IPを広く使っていくということは、御社としてそこで収益機会を広げ、経営の新たな柱を1つ打ち立てるという考え方なのですか。

高橋氏 これまでの任天堂ではリーチできなかったお客様や地域に対して、IPを広げることで任天堂の遊びの世界を知ってもらう。その上で、最後はゲーム専用機にそれらのお客様を全部連れていきたい。そのために、スマートデバイス向けアプリをリリースしたり、テーマパークにアトラクションを設置したり、といったさまざまな取り組みを進めていくつもりです。

──IPを通して任天堂の遊びを知った顧客を、ゲーム専用機で、いわば全部“回収”するというのが狙いだとすれば、来年3月に発売される新型ゲーム機「NX」がその役割を果たすわけですね。

高橋氏 そうです。任天堂のIPに触れた方々が、任天堂の遊びをより楽しみたいと思って「NX」を買えるように、また幅広い年齢層の方々やさまざまな地域の方々に喜んでもらえるように、そこはかなり意識して「NX」を作っています。

『ウエーブレース64』<br>(C)1996,1997 Nintendo
『ウエーブレース64』
(C)1996,1997 Nintendo
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『マリオカート ダブルダッシュ!!』<br>(C)2003 Nintendo
『マリオカート ダブルダッシュ!!』
(C)2003 Nintendo
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『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』<br>(C)2005 Nintendo
『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』
(C)2005 Nintendo
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『大合奏!バンドブラザーズ』<br>(C)2004 Nintendo
『大合奏!バンドブラザーズ』
(C)2004 Nintendo
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『大合奏!バンドブラザーズDX』<br>(C)2004-2008 Nintendo
『大合奏!バンドブラザーズDX』
(C)2004-2008 Nintendo
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高橋伸也氏が開発に携わった主な作品。『ウェブレース64』のみディレクターとして、残りはプロデューサーとして関わった