海外対応の横串部門によってコンテンツの作り方も変化
――流通にかかわる体制も変わったのでしょうか。
浅沼氏: 弊社は世界各地に地域販売会社を置いているのですが、全体的な効率性を考えて地域販売会社の統廃合をここ数年で実施してきました。さらに国内の開発体制、海外のマーケティングのコミュニケーションをより強靱(きょうじん)にするために、さまざまな施策に取り組んできたのです。それらが結実したのではないでしょうか。
それから、2015年の4月にグローバル事業推進室という部署を、BNEとして初めて作ったことが、海外事業が好転した一つのトリガーになったと考えています。
――横串で海外事業を見る部門ができたということですね。
浅沼氏: はい。実は、今まで事業部ごとに海外展開してきていたのです。今回、グローバル事業推進室がBNEアメリカやBNEヨーロッパといった海外の地域会社の立場に立って、国内の担当部署と調整するというハブ機能を実現できました。これがとても効果的だったと考えられます。
それとPS4とXbox Oneの売れ行きは海外市場では絶好調なので、これがそのままCS事業の好調さにつながっているのではないでしょうか。2016年3月に発売した『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム4』も非常に好調ですし、ハードとの好循環とよくかみ合っているという印象です。
――『聖闘士星矢 SOLDIERS’SOUL』のビジネスは良かったと聞きました。
浅沼氏: 『星矢』は、実は南米での人気が大変高いのです。企画当初からプロデューサーとBNEアメリカと一緒に戦略的に取り組んで、ゲーム内の音声は南米地域版アニメ声優を起用するといった南米市場を意識した制作が奏功したのではないかと思います。
『星矢』の例に代表されるように、最近のゲーム制作で劇的に変化したのは、言語対応ですね。最近、アラビア語に対応したタイトルを発売するなど、最大13言語で展開しています。販売データを集めている段階ですが、そのタイトルはアラビア語圏での売り上げがおそらく伸びていると思います。販売網の整備や、ゲーム自体のローカライズ、カルチャライズなどがいい感じで回り始めた実感があります。
その中核になるのが、グローバル事業推進室で、ローカライズについても全世界の案件を統括しています。全世界の担当者が集まる会議を仕切ったり、効率よくローカライズするための方法を探ったりする業務も担当しています。『NARUTO』関連のゲームがグローバルで好調なのは、こうした開発体制、販売体制を改善して成功した表れだと言えますね。今後も、戦略的に海外向けビジネスの比率を上げていきたいと考えています。