中国市場では他社IPとの協業で開拓していく

―― 海外事業について教えてください。特に中国市場での動きはどうですか。

守安: 中国市場が日本のスマホゲーム市場のサイズを超えて、全世界で一番大きなスマホゲームマーケットになってきているのではないかと見ています。その中でDeNAとしては、IP(知的財産)を活用したゲームを中心に展開してきました。IPを使ったゲームがヒットする確率は高く、そこに中国市場におけるポテンシャルを感じました。

 ただし、課題も残っています。ヒットした作品であっても数カ月後には売り上げが下がってしまうこともありました。我々の運営力を改善しなければならないところもありますが、中国のスマホゲーム市場は日本以上にレッドオーシャンなんだと思いますね。平均化してみると、タイトルの寿命はおそらく日本よりも短いのではないかと考えています。ヒットを作る時点でも大変なのですが、ヒットしてからもそれを維持するのが非常に難しい。いかにしてトップセールスを維持するか、というところが課題かなと思っています。

 また、中国市場はユーザーの嗜好性も違いますし、法律も違うし、商習慣も違います。その中で、日本市場と同じ感覚で市場参入すると手痛い目にあいます。DeNAは2009年くらいから中国のゲーム市場に飛び込んで、いろいろな苦労を乗り越えて、現地化を進め、現在は社員数500人規模の会社になりました。日本に限らず、欧米系企業全体で見ても、中国のインターネット関連サービス業界で成功しているところはありません。中国市場でチャレンジし続けられている自負があります。

――2016年は中国市場の勝負の年でしょうか。

守安: そうですね。今後も中国で人気のある日本のIPを軸としたゲームをリリースしていきたいです。今年配信する他のタイトルの中から、新しいヒット作品が出るかどうか楽しみにしています。

 中国のゲーム会社が、国外の企業が持つIPを使って、新しくゲームを開発するのは実はそんなにうまく動いていないケースがあります。自社IP以外のキャラクターに自由に変更を加えてしまったり、確認を怠ったりするという、手順を踏まずに開発した結果、IPの権利元からストップがかかり、ゲームをリリースできなくなってしまう。そんなトラブルを耳にしたこともあります。

DeNAはアプリ、海外、任天堂協業で収益アップを狙う【TGS2016】(画像)
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 DeNAは中国に開発拠点があることに加えて、日本や欧米の企業が守ってほしい約束事も理解したうえで、双方をブリッジできることが強みだと思っています。国外の企業が中国市場で生き残っていくためには、IPを軸に差別化していかないと太刀打ちできませんから。

 中国にはゲーム事業だけではなく、そのほかのサービス事業を持つ“巨人”のような企業がたくさんあります。例えば、コミュニケーションサービスの「QQ」や「WeChat」を持つIT企業最大手の「テンセント」は、それら以外に、生活全般に使える決済システムとか、Uberのようなタクシーサービスなど、ITを使ったさまざまなサービスを抱えていて、それが中国人の生活に根ざしています。完全にインフラサービスになっているので、その影響力という意味では日本の「LINE」もはるかに超えた位置づけだと思います。

 そういう中国企業と、ゲーム事業でしのぎを削らなければならない。だから、自分たちは何らかの差別化ができないといけないのです。その答えの1つが、IPを持つ企業との関係性を生かして、事業展開することだと考えています。