モバイル事業を分析できるだけの母数が集まった

――カプコンの課題という点で、モバイル作品でのヒットがないということを挙げられていましたが、今回の『モンスターハンター エクスプロア』で、一定の成果を得られたということになりませんか。

辻本: 確かに『モンスターハンター エクスプロア』は350万ダウンロードに達しましたから、カプコンにとってモバイル分野での久々のヒットといえるかもしれません。カードゲーム型のゲームアプリと異なり、モンスターハンターのアクション感を損なわずに遊べるゲーム内容になっているのが受け入れられたのでしょう。

 次の課題は、ユーザーに満足していただくことが前提の上で、課金への対応や他の「モンスターハンター」シリーズ作品への誘導です。そもそも家庭用ゲームの「モンスターハンター」は追加コンテンツへの課金がありませんからね。あまりに射幸心をあおりすぎては問題ですし、「モンスターハンター」自体のゲーム内容に影響を及ぼす恐れも出てきます。

 また、アプリについても、それ単体で利益を追求するのではなく、カプコンが掲げる「ワンコンテンツ・マルチユース」や「マルチプラットフォーム」といった戦略の一環として動いています。スマートフォンゲームの中には、非常に多額の利益を上げているアプリもありますが、今まで「モンスターハンター」ブランドのゲームを遊んだことのない人に訴求できる“環境”が与えられたと考えれば、マネタイズの重要性は認識しつつも、ブランドの浸透や価値の向上も併せて検討していかなくてはなりません。

若い層を獲得し、ロングセラーを活性化するカプコン【TGS2016】(画像)
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 まだまだ課題は多いのですが、モバイルについてはリリース本数にこだわらず、むしろ厳選して開発を進めています。既存のメジャータイトルのブランドを生かしたアプリを作るだけでなく、モバイル発の作品も企画しています。カプコンは各プラットフォームで新たなIP(知的財産)を生み出してきたので、できればモバイル分野でも独自のものを生み出せたらいいですね。

――2015年は、苦戦していたモバイル分野でも突破口が見えたわけですね。

辻本: 突破口が見えたというよりも、モバイル事業を分析できるだけの母数が集まったというところですね。そういう意味では、『モンスターハンター エクスプロア』が良いきっかけになりました。あとはユーザーの納得感が高い課金方法を検討し、将来の利益にどうつなげていくかが2016年以降のテーマだと思います。