ロングセラーは、本来のターゲットに再度フォーカスを当て直す

――『モンスターハンタークロス』に、若い層を取り込むための具体策は何かあったのでしょうか。

辻本: ゲームシステムに手を加えたほか、武器や防具についてもリニューアルしました。それらが受け入れられたのではないでしょうか。今回のヒットは、そうした若い新規ユーザー層の獲得が大きかったですし、女性ユーザーの比率も上がりましたね。

 ただ、若い層を取り込む手法については、タイトルごとに細かく分析していく必要があります。カプコンは10年以上続いているタイトルを多く抱えていますが、どれも発売当時と比べ、ファンの年齢層が上昇しています。これまで楽しんでいただいた既存のユーザー層を大切にしながら、さらに新しいユーザーに入ってもらえるようなゲーム内容にしていかなければ、ブランドの維持だけでなく支持するユーザーの母数自体が減っていきます。

――セールスを考えれば、人気シリーズになるほど既存ユーザーを大事にしたいでしょうし、だからと言って挑戦を恐れて新規ユーザーの開拓を怠ればブランドが廃れていく。どちらに軸足を置くか悩ましいところですね。

辻本: これは開発における永遠の課題ですね。しかし、そこを突き詰めることは、開発にとっても目から鱗(うろこ)となるのではないでしょうか。

若い層を獲得し、ロングセラーを活性化するカプコン【TGS2016】(画像)
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 確かに、シリーズを追いかけて購入してもらっているお客さんが大切だというのが実情です。しかしデータを取ると、ロングセラーシリーズはコアだったユーザー層の年齢も上がっていることがはっきりしています。彼らを意識しすぎると、開発やマーケティングのポイントが、当初想定していた年齢層やユーザー層とズレてしまう恐れが出てくる。ならば、本来のターゲットに再度フォーカスを当て直して取るべきユーザーを獲得する。それによって、これまでのユーザー層とうまく融合させることができれば、新たなボリュームゾーンができるはずです。

 ユーザーの年齢層が多重化すれば話題も拡散しやすくなりますし、カプコンが得意としている「ワンコンテンツ・マルチユース」のビジネスも展開しやすくなります。2015年はそうしたことを考えながら戦略を立ててきました。ファッション分野でも自動車業界でも、既存のお客さんを大切にしつつ、新しい客層を取り込むためにデザイナーを変えたりして、絶えずリニューアルをかけながらブランドやシリーズを維持していますよね。ゲーム会社におけるブランド戦略も同じだと思います。

 私の肌感覚ですが、リアルイベントの「モンスターハンターフェスタ」には、実に幅広い層の方々に来場していただいたと感じています。ティーンエイジャーから比較的年齢の高い方、仲間同士、女性同士、カップルや家族など……。こうした状況を見ると、『モンスターハンタークロス』の発売によってまた新たなユーザー層への浸透が図れたのではないかと思います。

モンスターハンターフェスタ’16(大阪大会)の様子<br>写真:カプコン提供
モンスターハンターフェスタ’16(大阪大会)の様子
写真:カプコン提供
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