“0→1”は本当に難しい

──橋本さんが社長になられて、どんな役割を意識されていますか。

橋本氏: 木谷が10年かけて、このグループをつくり、木谷ほぼ一人でコンテンツを開発してきたというところがあります。ここから先は、木谷には引き続き陣頭指揮を執ってもらいつつも、下から上がってくるアイデアを拾い上げ、コンテンツを生み出せるような組織にしていきたいですね。

 幸い、グループ内では、コミック、アニメ、ゲームが制作でき、広告会社機能があり、声優もグループ会社に所属していて、マーチャンダイズもできて、カードも作れて――。他の会社でコンテンツを立ち上げるよりも、うちのグループの方が実現しやすいと思うんですよね。

木谷氏: とは言っても、「ゼロからイチを生み出す」のは、本当に難しいです。最初のお題、先ほどの『レヴュースタァライト』でいう「ミュージカル原作」といったお題を見つけることが難しいと思うんですよ。これは、空気を読むのではなく、時代を読まなければなりません。それが読めるかどうかはセンスの問題です。

 例えば、2017年末に発売したトレーディングカードゲーム『ヴァイスシュヴァルツ』で、『ガルパ』とコラボしたブースターパックを出したのですが、発売後2日で完売となる大ヒットでした。僕は、トレーディングカードのトレーディングの部分に立ち戻り、1000枚しか出せなくてもいいから、「もっと光らせろ」とか「声優のサインをいろいろなパターンで入れろ」と言ったんです。これで、カードを買ってパックを開けた時のドキドキ感や面白さを、もう一度思い出してほしかった。

 100種類もの声優のサイン入りカードなんてアイデアは、お店やお客さんに直接聞いても出てこない。お店やお客さんの潜在意識を読んでニーズをつくり出すのがメーカーのやることだと思います。

売り切れも続出した『ガルパ』コラボのブースターパック、声優のサイン入りカードが高額で取り引きされる現象も起こった
売り切れも続出した『ガルパ』コラボのブースターパック、声優のサイン入りカードが高額で取り引きされる現象も起こった
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──もっとデジタル連動に向いた方向性なのかと思いましたが、アナログの部分にフォーカスしたのですね。興味深いです。

木谷氏: 少し話は変わるんですが、ネット社会になって、いろいろな情報が入るようになったと思いがちでも、実際は自分の興味・関心に最適化された情報ばかりが大量に入ってくるようになり、それ以外の分野の情報に触れる機会はむしろ少なくなっているという現実があります。その人にとって見える情報が偏ってしまう世の中になったのです。

 先日、書店に行って、売り場をぐるぐる歩き回ったのですが、普段ネットでは全然目に触れないものにぶち当たるんですよね。デジタルを使いつつも、アナログの俯瞰した視点や感覚と組み合わせることが大切だと思いますね。

──カードゲーム分野では、スマートフォン向けアプリ、デジタルカードファイト『トリプルモンスターズ』(以下、トリモン。ゲームスタジオとの共同制作、2018年4月末配信開始予定)に期待がかかります。

木谷氏: 『トリモン』は世界観・ストーリー、ゲーム、タレントが三位一体となって展開する新感覚のオンラインカードゲームです。オンラインカードゲームなのに、リリースより先に、ゲーム内キャラのユニットソングCDの発売やライブの開催を発表したりと、SNSが盛り上がるような新しいことをやっています。

 オンラインカードゲームでは、『トリモン』の次にも本命とも言える大きなプロジェクトが控えています。現在開発を進めている『カードファイト!! ヴァンガード』のスマホ向けゲーム『ヴァンガード ZERO』です。『トリモン』のチームには、「『ヴァンガード ZERO』の露払いになってくれ」と言っているんです。それくらい言ってハードルを下げて(笑)、面白いことをのびのびとやってほしいと思っています。

『トリプルモンスターズ』(iOS/Android、2018年4月末配信開始予定)(C) bushiroad All Rights Reserved. illust:ヤスダスズヒト
『トリプルモンスターズ』(iOS/Android、2018年4月末配信開始予定)(C) bushiroad All Rights Reserved. illust:ヤスダスズヒト
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『ヴァンガード ZERO』(iOS/Android、2018年冬配信開始予定) (C) bushiroad All Rights Reserved.
『ヴァンガード ZERO』(iOS/Android、2018年冬配信開始予定) (C) bushiroad All Rights Reserved.
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