ユーザーの反応を見ながら開発した『仁王』が世界でヒット

――そうした開発体制から生み出された作品が増えてくるのが2017年というわけですね。

鯉沼氏: 新しいIPでいえば、今年2月に発売になった戦国アクションRPG『仁王』(PlayStation 4ソフト)があります。お陰様で2月9日の発売から既にワールドワイドで100万本を超えました。新しいIPが受け入れられるかどうか不安ではありましたが、テスト段階から海外ユーザーの評価が高く、その評判を知った日本のユーザーも購入してくださっています。

『仁王』 (C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
『仁王』 (C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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 『仁王』は最初から世界で売っていくことを想定して開発しました。主人公はイギリス人の武士。そうした設定もあり、全編を通じて英語で会話し、字幕は15カ国語に対応しています。

――シリーズものではなく全く新しいゲームですが、世界で受け入れられた理由はなんでしょう?

鯉沼氏: さまざまな理由があると思いますが、開発の方法を変えたことが大きいでしょう。開発途中のゲームを、ユーザーに試してもらいフィードバックをもらってきました。アルファ体験版は10日間限定での配信ながら、全世界で85万を超えるダウンロードがありました。さらに、改良したべータ体験版もリリースし、ゲームを試してもらってきました。

――今までユーザーの反応を確かめながらの開発はしてこなかったのですか。

鯉沼氏: ほぼ完成したゲームの一部を「体験版」としてリリースすることは何度かやってきました。今回違うのはユーザーの反応を見ながら、設計自体を何度も変更したことです。キャラの動かし方、ゲームの難易度の調整では、各地域のユーザーの意見を反映させるべく設計を変えました。実はこのゲームは、世界中のプレーヤーと協力して進めることができます。その意味でも各地域のプレーヤーの反応を念入りに確かめることは大事でした。

 面白いのは、ゲームの難易度、面白さの志向が国によって違うということです。日本人のユーザーには簡単でも、欧米のユーザーには難しく感じる操作もあれば、逆もあります。ゲームとして楽しいと感じるポイントも微妙に違います。こうした国ごとの違いを理解し、落としどころを探っていくうえで、各国のユーザーの意見はとても参考になりました。

――かつて、ゲーム業界では「日本のゲームと洋ゲー(海外のゲーム)はテイストが全く違う。海外で売れるゲームは海外のスタッフでつくるべき」という考え方がありました。世界各国に開発部隊を置くのもブームになったと思いますが、今はどうお考えですか。

鯉沼氏: 現在、当社ではシンガポールに海外開発のヘッドクオーターを置き、そこからの指示に基づいて具体的な開発作業をベトナムで行っています。ただし、一時期いわれていたようなゲームの極端なローカライゼーションは必要ないのではないかと思っています。

 例えば、日本のスマホ向けアプリには、 いわゆるガチャの要素が入っています。つまり、ゲーム内課金をすることで、ランダムでレアなアイテムが入手できる遊び方です。これには日本ユーザーは慣れていても、海外のユーザーはなじまないとずっと言われてきました。しかし、最近では海外のユーザーも抵抗なく遊んでいただいています。実は、ここ数年で日本式のゲームに、海外のユーザーも慣れてきたのではないかとみています。

――コーエーテクモでは、マンガやアニメのキャラクターを使ったゲームの開発も多いです。マンガ、アニメのキャラだと海外でも抵抗感なく受け入れられる可能性はありますね。

 「世界展開」といいましたが、全世界に均等にヒットするソフトばかりではありません。例えば『戦国無双』は日本でしかウケませんが、『真・三國無双』であれば中国、アジアでも受け入れられます。テーマによって日本と欧米、日本とアジア、アジアと欧米など組み合わせを考えながら開発していくアプローチをとるのが正しいと思っています。

『のぶニャがの野望』は、ねこのキャラになった戦国武将たちが“ねこ武将”として登場する (C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
『のぶニャがの野望』は、ねこのキャラになった戦国武将たちが“ねこ武将”として登場する (C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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