VRやAIの技術に特化した子会社を設立

━━ビジネスモデルとして、参考になる企業はありますか?

津谷氏: IP展開を考えたらアニメ業界が一番参考になるんだと思いますが、あまり考えたことがありません。僕らは携帯から出てきましたが、現在の競合は家庭用ゲームから出てきた人たちです。昔は携帯といえばちゃちなウェブしか見られなかったのが、重厚長大なものも楽しめるようになってきた。一方で、家庭用ゲームの企業もこちら側に寄ってきました。

 家庭用ゲーム会社の作り方は“重い”じゃないですか。僕らは、もともとは“軽く”作っていたのが、かなり重くなってきました。昔は1タイトルあたり、年間1億円ぐらいだったんですが、気がつけば、10億円~20億円はかかっている。“重く作る”ことを学ばないといけないという意味では、家庭用ゲーム会社とか、アニメ会社とかは参考になるかもしれません。アニメ会社もいっぺんに13話どんと作る。途中でやめられないですからね。ウェブっていくらでも変更できるし、やめられる。そういう文化だったのが、「でかく作る」という感覚を学んでいるところです。

東氏: 今までは恋愛ドラマコンテンツをシリーズで作っていって、収益を上げていくというモデルでした。それはそれで今まで通り、もっと進化したやり方をしていきますけれども、津谷が“重厚”と言っているような、1つをしっかり作っていろいろなビジネスに展開していくタイトル、アニメや舞台、グッズなどいろいろな形に展開できるタイトルにもチャレンジしていきます。

━━新しく「ボルテージVR」という会社がスタートしましたが、期待感はいかほどですか?

津谷氏: 大いに期待しています。VRやAIのいい技術者が社内に何人かいて、面白いものをやってくれるので、その技術力を生かしてヒットコンテンツに結び付けてもらいたいなと思い、会社をつくりました。VRもAIも1つずつ作ってみたところ、売り上げ規模はすごく大きいわけじゃないのに、市場のレスポンスは感じるんです。

東氏: 特に海外が。

津谷氏: 英語のほうがダウンロード数が多いんですよ。日本ではVRコンテンツというとダウンロードよりも、ゲームセンターやテーマパークなどで遊んでもらうものが多くて、そちらから結構引き合いが来ています。米国は国が大きいのでゲームセンターにあまり行かない。むしろダウンロードで楽しもうと考えるようで、そっちが今のところ多いです。

━━2017年はどんな1年になっていきそうですか?

津谷氏: 数字として結果を出していきたいなと思っています。

東氏: この下期(~2017年6月)は、さっき言った『Love & Legends』(ラブ アンド レジェンズ)のほかにも、新しいタイプのコンテンツを数本、予定しています。まずは昨年立ち上げた子会社、ボルモから『ワタシドラマ』というアプリを出しました。近日中に『ダウト』形式の第2弾も出します。

『ワタシドラマ』。Android搭載端末向けに3月30日よりサービスが始まったモーション型読み物アプリ(iOS版は4月中に配信予定)。現在は、1つのアプリで、29歳独身OLが婚活テクニックを駆使して結婚を目指す『婚活ガール』と、普段は地味なOLが理想の男性に近づくため、SNS上でキラキラ女子に変身する『#キラキラ女子大作戦』の2作が楽しめる
『ワタシドラマ』。Android搭載端末向けに3月30日よりサービスが始まったモーション型読み物アプリ(iOS版は4月中に配信予定)。現在は、1つのアプリで、29歳独身OLが婚活テクニックを駆使して結婚を目指す『婚活ガール』と、普段は地味なOLが理想の男性に近づくため、SNS上でキラキラ女子に変身する『#キラキラ女子大作戦』の2作が楽しめる
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津谷氏: 『ワタシドラマ』はキャラクターが動くモーションタイプ。男女のキャラクターが出てきて、画面上でしゃべったりするんですよ。しゃべるといってもテキスト吹き出しですけど。動く漫画みたいな。

東氏: このアプリは女性を主人公に、恋愛や結婚、仕事や趣味など幅広いジャンルをコメディータッチで描いていて、1つのアプリでさまざまなストーリーが読めるスタイルになっています。今は、29歳独身OLが婚活テクニックを駆使して結婚を目指す『婚活ガール』と、普段は地味なOLが理想の男性に近づくため、SNS上でキラキラ女子に変身する『#キラキラ女子大作戦』の2つのストーリーがあります。今後も、恋に仕事に悩む女性が共感するような等身大のストーリーをどんどん出していきます。

津谷氏: ほかに“ボルテージ ドリーム”という新ブランドを立ち上げ、当社初のコア層向けチームドラマアプリも出します。テーマは「アニマルアイドル」。

東氏: 今、(猫耳などの)ケモ耳が人気じゃないですか。ああいうのと融合したようなキャラクターがアイドルとして活躍します。いわゆる恋愛要素はありません。

2017年夏に配信を開始する、新ブランド「ボルテージ ドリーム」の第一弾タイトル。動物の能力を持った“アニマルアイドル”(=アニドル)を育成するというもの。
2017年夏に配信を開始する、新ブランド「ボルテージ ドリーム」の第一弾タイトル。動物の能力を持った“アニマルアイドル”(=アニドル)を育成するというもの。
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津谷氏: あとは電子コミックサイトと似たような形で楽しめるものもつくります。

東氏: カジュアル層をターゲットとすると、コミックサイトも競合します。コミックサイトが好きな女性は多いので、コミックサイトで1つのマンガを読んだら次のマンガを読んでというのと同じように、恋愛ドラマアプリがあれこれ楽しめるものを準備中です。

津谷氏: 今はタイトルを1つ1つ買っていただく形ですけど、いろいろなタイトルが1つのアプリに集約されている感じ。その中のタイトルを増やしていくという形です。

 この半年間、業績が停滞するなかで、社員の不満や要望を聞くような会もやっていました。みんなを巻き込んで解決策を考えてきて、社員のマインドが新しいことをやろうというようにかなり変わってきたんじゃないかなと思います。実際新しいアイデアがいっぱい出てきた。失敗もあると思いますが、それが数字に結びついて、再生していきたいなと思っています。

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日本ゲーム産業史
ゲームソフトの巨人たち
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