普通の女性のオタク化によって増えたコア層を狙う

━━今回の改革のポイントは?

津谷氏: 主に2つです。今までは、普段ゲームをやらないようなカジュアル層の女性を狙っていたんですが、もう少しコアな層にも向けていくというのが1つ。コア層が増えて、マーケットが大きくなってきているのに加え、普通の女性がオタク化して、コアになってきているからです。

東氏: カジュアルとコアのどちらかではなく、両方の要素を持った女性が非常に増えていると感じます。

津谷氏: 『君の名は。』という映画がすごくヒットしましたが、昔ならば、新海誠監督を好きなコア層しか見なかった。今は、女性も仕事をしているし、晩婚化で40代の独身女性も増えてきている。パートナーはいるかもしれないけど、お金を持っていて、子どもがいないとエネルギーが余っちゃうんですよね。それが自分の興味あるところにバーっと集中して、趣味性が強くなっていく。そうするとコアなものになるじゃないですか。男だって同じですが、オトナ女子にそういう人がすごく増えてきた。僕はそういう風に思っています。

加熱するオトナ女子市場 先駆者ボルテージが示す新機軸(画像)
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━━今までカジュアル層をメーンターゲットと考えていたものが、コア層にも広げると何が変わるんでしょうか。

東氏: ストーリーで言うと、ドラマをよりファンタジーにします。リアルな日常生活が舞台のものもやりつつ、今までやらなかったようなファンタジーまで思いっきり飛ばすということですね。

津谷氏: もう1つは開発スタイルです。これまでいろいろなタイトルをシリーズ的にずっと作ってきたんですが、シリーズ化のよさを残しつつも、1個1個ゼロから立ち上げていくような形を半分入れる。シリーズ的な要素は半分にして、ゲーム構造そのものが全く新しいものを出していくとか。イケメンが出てきて、その人とテキスト文字で対話しながら選択していくというパターンのみでずっとやってきましたが、それ以外のフォーマットもやっていこう、もしくはアプリ以外もやってみようということです。例えばVR。今まではそういうものを作ったことがありませんが、そういう風を会社の中に吹かせたいなと思っています。

東氏: ゲームだけじゃないところで、ユーザーさんにいろいろ楽しんでいただくようなコラボレーションを外の方とも一緒にやっていきます。

津谷氏: 上場以来5年間、同じようなタイプのタイトルばかりになっちゃったので、『ダウト』みたいな新しいものが出るような動きをもっと加速させようということですね。表面的に違うというよりも、本質的なところも掘り下げて変えていく。本質的な作り方のプロセスとか体制そのものも変えていくというようなことにチャレンジしています。

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東氏: 具体的には、今まで全社1つのやり方でやっていたのを、7種類のやり方で、7種類のタイプを作っていく。

津谷氏: 『キングダム』というマンガがありますが、主人公の少年剣士は、10万人を率いる大将軍になりたくて、まず5人組のトップから始めます。結果を出して、次は10人組の将になって、その次は50人、100人の将になるみたいなステップを踏んでいくんです。僕が会社を始めたころを思い出しても、やっぱり100人ぐらいだったら1人のリーダーで取り仕切れるんだけど、今、500人を1つのタイプでやっていて、そこにリーダー1人だとすごく重荷だなと。1対500で、500人を動かすとなると、なかなか動いてくれないし、細かいところはもちろん分からない。なので、まず50~100人ぐらいの単位に組織を分けて、それをリーダー1人ずつに持ってもらう。組織を小さくして動きやすくしたということですね。

━━これまで、コンテンツ制作のノウハウをマニュアル化するという社内教育をやってこられました。「守破離」という言葉がありますが、まずはマニュアル化で型を「守る」ことをやってきて、いよいよ型を「破る」段階に来たということでしょうか?

東氏: おっしゃる通りです。

津谷氏: 基礎的なものは身についているので、それを1回破る。組織は数年単位で固定化して、今度は広げて、また固定化するフェーズに入りますよね。5年から10年のサイクルで回っていくんだとは思うんです。

東氏: 米国でゼロから組織を作ったのもしんどかったですけど、500人を変えるのは、もっと大変ですね。ある意味成功体験を持っていますので、それを1回ひっぺがして再構築するというのはなかなか大変です。それでもだいぶやって、形が見えてきました。