eスポーツはコミュニティーの盛り上がりから

――以前、早川社長にお話をうかがったときに、KONAMIの強みは、「創る力(IPを創出する力)」「磨く力(掘り下げる力)」「届ける力(プロモーション力)」の3つとおっしゃっていました。お話を聞いていて、IPを「磨く力」「届ける力」は非常にうまく回っていると感じます。「創る力」について成果として挙げられる事例はありますか?

早川氏: 新規IPについては、既にいくつかの企画検討を進めています。また今後、クロスメディア部が本格的に動き始めるなかで、メディアミックスのIPが出てきたとき、本当の「創る力」の真価が問われるのだろうなと考えています。新規に生み出していくという点以外でも、時代に合わせた遊び方や見せ方で創り直していく取り組みも非常に大事です。ベテランのクリエーターが若手クリエーターとコラボレーションをしながら新しい形を創っていくことを社内で進めており、制作チームの活性化という意味でも効果が出てきています。

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――KONAMIとして、最近注目されているゲーム業界の話題について、どのようにお取り組みかをうかがいたいと思います。最初に、eスポーツについてはどうですか?

早川氏: スポーツの形というのはどんどん多様化しています。走る、投げる、跳ぶといった身体系の競技から、フィールドスポーツのサッカーや野球が誕生し、工業の発展に伴ってモータースポーツが生まれ、IT技術の進化とともにeスポーツが、今、注目されている。そう考えると、やはり、ゲームも「スポーツ」になるんだろうなという感覚です。

 一般的なスポーツと同様に、オーディエンスがいて、何千万人というファンがいる、ゲームを超えた大きなエンターテインメントになっていくのがゲーム業界として見据えるゴールかと思います。

 ただ、ゲーム会社としては、楽しみ方のフィールドが増えたという意味でeスポーツに注力しており、いきなりゴールを目指すよりも、まずはゲームをプレーすることが楽しい、大会に出場して楽しい、それを観戦して楽しいということをどうやって広げていくかに力を入れています。

――eスポーツのビジネスモデルはどういう形になっていくと考えていますか?

早川氏: ビジネスの視点で捉えていく段階はまだ早いと考えています。リアルのスポーツと同じような形になっていくだろうと頭の中では描いていますが、一番必要なのは、eスポーツを好きになってもらうためには、コミュニティーがどのように活性化するのが良いかということ。それをベースから考えています。

 サッカーの本当の成り立ちは分からないですが、ボールが1個あって、それを1人、2人と蹴り始めて、5人や10人で試合をしたら楽しかった、それを見て面白かった――。そのコミュニティーが隣の町に生まれて、そのまた隣の町に生まれて、じゃあ大会をしようみたいな。そういう流れを作っていきたいと考えています。

――ファンが多くなれば興行が成り立ち、スポンサーが付きますしね。

早川氏: これまで行ってきた弊社のeスポーツ選手権はファンに楽しんでいただくことを目的にしていたので、その段階まで具体的に視野には入れていませんでしたが、将来的にはその可能性もあります。

――サッカーゲームである『ウイニングイレブン』のeスポーツ大会「PES LEAGUE」は、世界大会が開かれるなど大きな規模で展開されています。どういうステップを踏みながら進めていますか?

早川氏: 「PES LEAGUE」はもともと欧州の地域大会からスタートしているんです。そこから徐々に規模を拡大してきました。今は弊社主催で世界選手権という形でやっていますが、始まりはコミュニティーの方々の盛り上がりからなんです。

 同じく世界選手権を開催している『遊戯王』でもそうですが、コミュニティーの方々が自発的に大会を開けるようなエコシステムというか、アセットを我々からしっかり提供し、大小を問わず、大会の数が増えていくことで、リーグ自体が大きくなると良いなと思っています。

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『PES LEAGUE WORLD TOUR 2018 ASIA ROUND』 (C)Konami Digital Entertainment

――コミュニティーが盛り上がるためにクリアしなくてはならない課題は何ですか?

早川氏: ご存じの通り、日本のゲーム市場は世界的に大きいのに、eスポーツの市場規模は本当にわずかしかない。日本のゲーム業界としてeスポーツの認知を高めていかなくてはいけないでしょうし、ゲームが好きな方に対して、eスポーツの楽しさとか素晴らしさを伝えていくことが必要でしょう。当然、選手の地位も上がっていくようにしていかなければと考えています。

 それに、eスポーツの見どころをちゃんと説明していくことも大事ですよね。サッカーでも、オフサイドってこうなんだなどルールが分かるとより面白くなる。一見すると地味なプレーでも実はすごいんだということを伝えられれば、面白く見てもらえると思うんです。

 そういう意味で、eスポーツをとりまくすべての環境を一つずつ上げていくということです。弊社でも、2016年にeスポーツメディア推進室という専門部署をつくって、力を入れているところです。

――スマートフォンでもeスポーツを楽しむようになると、スキルで戦っていくタイトルが重要になってくるのかもしれないですね。

早川氏: もちろんそうです。これは家庭用ゲームでもモバイルゲームでもそうですが、スキルゲームはより増やしていきたいです。