2017年の成果はこの3年の取り組みの賜物
――2017年(2018年3月期)の業績が好調です。昨年のトピックスと好調の背景を教えてください。
早川英樹社長(以下、早川氏): 1つは、昨年9月に開催された「東京ゲームショウ2017」で、『ラブプラス EVERY』や『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS』、『METAL GEAR SURVIVE』(2018年2月発売)といった新規タイトルの試遊でファンの方々に楽しんでいただけたことです。既存IP(ゲームやキャラクターなどの知的財産)の活用や、VR(仮想現実)をはじめとする技術導入など、新しい体験を届けるチャレンジを重視してやってきましたが、それをファンの皆様に広く見てもらえる良い機会となりました。
2017年の成果は、この1年ですべてが実ったわけではなく、3年間かけて計画的にやってきたことが形になったということが大きいです。もともとKONAMIには、多くのお客様に、あらゆるデバイスでゲームを遊んでいただきたいというマルチデバイス戦略が、変わらぬDNAとしてあります。育ててきたIPをさまざまな場所に展開して、より多くお客様に遊んでいただこうとやってきたことが、2017年に成果として表れています。
また、こうしたマルチデバイス展開を進める際、ハイエンド家庭用ゲームで技術力を磨くことは重要です。例えば、モバイルゲーム『ウイニングイレブン 2018』(2017年5月配信開始)は、家庭用ゲーム『ウイニングイレブン』シリーズのゲームエンジンで制作しています。今後、モバイルデバイスのハードウエアスペックが向上していくことを考えると、こうしたハイエンド家庭用ゲームへの投資を継続し、世界最高レベルのゲームをお客様に提供し続けることは必要不可欠です。PlayStation4(PS4)やNintendo Switch(以下、Switch)などのハードがグローバルで好調なことをみても、家庭用ゲームビジネスは引き続き重要だと考えています。
――その中で、うまくいった例を具体的に挙げるとすると?
早川氏: Switchのローンチタイトルとして出した『スーパーボンバーマン R』(2017年3月発売)です。Switchが2つのジョイコン(Joy-Con)を備えた家庭用ゲーム機ということで、その特性に合わせてクリエーターが企画を考え、それがお客様に受け入れられたということが成果として非常に大きかったと考えています。まさに我々が目指してきたことです。
――『ボンバーマン』は、キャラクターを動かしながら爆弾を設置して、爆風で敵を倒していくゲームですね。家庭用ゲーム機向けとしては久しぶりの新作です。
早川氏: サードパーティーのローンチタイトルとして唯一の完全新作だったということもあり、おかげさまで100万本出荷も視野に入っています。日本だけではなく、欧米をはじめとする幅広い地域で楽しんでいただいていますね。また、6月14日にPS4、Xbox One、Steam向けにも提供することが決まりました。
――『ウイニングイレブン』シリーズでは、モバイルゲーム『ウイニングイレブン 2018』や『ウイニングイレブン クラブマネージャー』のほか、有名サッカー選手のカードを集めて遊ぶシミュレーションゲーム『ウイニングイレブン カードコレクション』(2017年10月配信開始)がヒットしています。
早川氏: 『ウイニングイレブン クラブマネージャー』は、家庭用ゲーム『ウイニングイレブン』シリーズで磨いた技術を使い、監督シミュレーションゲームとして、戦略性をより高めていこうと生まれたゲームです。
また、『ウイニングイレブン カードコレクション』は、有名サッカー選手のカードを集めて遊ぶコレクションと、育成にフォーカスしたゲームとなります。サッカーゲームの場合、人によって好きな遊び方や趣向が違うんですよね。アクションゲームをやりたい方もいれば、オンラインで対戦したい方、監督の目線でプレーしたい方、カードゲームのように遊びたい方などさまざまです。もともと弊社は家庭用ゲームでハイエンド向けアクションサッカーを中心に提供してきましたが、サッカーゲームを20年以上やっているなかでノウハウがたまってきたので、これをベースに異なるゲームジャンルが作れるようになりました。この3年間でその出口を広げられたのが1つの大きな成果だと思います。