富士通ブランドのPC開発、生産は継続

 発表によると、富士通クライアントコンピューティングは、社名を継続して使用。代表取締役社長には、齋藤邦彰氏が引き続き就く。また、富士通ブランドのPCの開発、生産を継続し、現在の製品ポートフォリオを維持。神奈川県川崎市の開発部門や、島根富士通の製造体制を維持する。富士通傘下の福島県伊達市の富士通アイソテックでは、富士通ブランドのデスクトップPCを生産しているが、今後は、富士通クライアントコンピューティングから同社に委託する形でデスクトップPCの生産を継続することになる。

 また、法人向け製品については、従来通り、富士通から販売パートナーを経由した販売と、直販部門による販売体制を維持。サポートやサービスも富士通が提供する。一方で、国内の個人向け製品は、富士通クライアントコンピューティングから、量販店などに販売。サポートとサービスも富士通クライアントコンピューティングが担う。

 会見では、製品ポートフォリオに変化がないことや、工場を閉鎖する計画がないことを強調していた。だが、製品ラインアップの維持や、生産拠点の維持は、国内PC市場が継続的に成長することを前提としている点に注目すべきだ。

 レノボ・グループのケン・ウォン シニアバイスプレジデント兼アジアパシフィック地域プレジデントは、「日本では、2020年の東京オリンピックまで成長の勢いが続く」と予測。「世界で最も先進的なテクノロジーを好んでいるのが日本のユーザーだ。世界全体におけるプレミアムPCの構成比は17%なのに対し、日本では55%を占める。1人あたりの平均売り上げが最も高いのも日本である」と、日本の市場における成長性と収益性の高さを強調した。

レノボ・グループのヤンチン・ヤン会長兼CEO(左)と富士通の田中達也社長(右)
レノボ・グループのヤンチン・ヤン会長兼CEO(左)と富士通の田中達也社長(右)
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 東京オリンピックによる需要増以外にも、2019年10月に予定通り消費税が10%に上がれば、それを前にした駆け込み需要が想定されるし、2020年のWindows 7の延長サポート終了に伴う置き換え特需も見込まれる。さらに、富士通クライアントコンピューティングが、「今年の年末商戦の目玉」と位置づける「ミックスドリアリティー」(Mixed Reality、MR、拡張現実)などの新たな技術との連携で、PCの需要拡大に弾みがつくという期待も膨らんでいる。

 こうした成長が見込まれるタイミングにおいては、当然のことながら、製品ラインアップの縮小や、生産拠点の統合といった判断は、戦略的にマイナスだ。NECパーソナルコンピュータが持つ山形県米沢市の米沢事業場、富士通クライアントコンピューティングの島根富士通、富士通傘下の富士通アイソテックという3つの国内製造拠点を維持したほうが、成長に併せた生産が可能だ。