ソニーマーケティングは、北海道・札幌に5店舗目となる直営店「ソニーストア札幌」をオープンすることを発表した。2004年に大阪・梅田に出店したのを皮切りに、2009年には東京・銀座、2010年には名古屋・栄に出店。3大都市への出店が完了したことで、ひとまずの出店計画は完了したが、今年4月、6年ぶりに、福岡・天神に4店舗目となるソニーストア福岡天神を出店していた。

「ソニーストア札幌」の完成イメージ
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札幌で、ソニーストアは5店舗目になる
札幌で、ソニーストアは5店舗目になる
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 ソニーストア札幌は、計画通りに進めば、2017年3月末までにオープンする予定だという。今年9月には、ソニーストア銀座が銀座4丁目交差点にオープンしたGINZA PLACE内に移転しており、これを含めると、年度内に3店舗が新規あるいはリニューアルオープンすることになる。これは過去にない勢いだ。

 「福岡および札幌への出店は、2015年度から検討を始めていた。その背景には、ソニーが付加価値商品のラインアップを強化するのに伴い、ソニーストアの存在をより重視してきたことがある。お客様に実際に商品を触っていただいたり、発売前の商品をいち早く体験していただいたり、新たな使い方を提案したりするような店舗が、九州や北海道にも必要だと考え、物件を探していた。福岡に続いて、札幌にも最適な物件を見つけることができた」と、ソニーマーケィングジャパン カスタマーマーケティング本部長の浅山隆嗣執行役員は語る。

 ソニーは会員サービス「MySony」を運営しているが、北海道エリアの登録者の全国構成比率は、全国の人口に占める北海道の比率よりも高い。つまり、北海道地区には数多くのソニーファンがいるということになる。

 加えて、今回のソニーストア札幌が、地元で話題を集めているのにはひとつの理由がある。それは、ソニーストア札幌の出店場所が、かつてアップルストア札幌が出店していた場所ということだ。札幌市営地下鉄の「大通」駅が最寄りで、札幌市電の西4丁目駅からもすぐの場所。西隣には、札幌三越がある。

ブルーシートがかかっているのがソニーストア札幌の出店予定地。西隣には、札幌三越がある
ブルーシートがかかっているのがソニーストア札幌の出店予定地。西隣には、札幌三越がある
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 この地に、アップルストア札幌は2006年6月24日にオープンし、10年目を迎えた今年2月26日に閉店した。アップルストア札幌では、同ビルの1階と地下1階を使用していたが、ソニーストア札幌は、1階と2階の2フロアを利用することになる。現在、2階部分までを覆っていたアップルストアの看板を撤去しているところだ。

 実は、今年4月にオープンしたソニーストア福岡天神は、先に出店していたアップルストア福岡天神と、道を挟んだ反対側に出店した。それも大きな話題を呼んだが、今回の札幌での出店は、アップルストア札幌の跡地というだけに、それ以上の話題となっている。

 いずれの場合も、アップルストアを追いかけるような形で、同じような場所への出店が続いているというわけだが、ソニーマーケティングジャパンの浅山執行役員は、「出店の重要なファクターは物件。探していたところ、たまたま、アップルストア札幌が出店していた物件が空いていた」と話す。

 顧客ターゲットなどが重複していることを考えると、どうしても出店場所が似たものになってしまうのだろう。だが、福岡天神の例を見ると、それぞれの店舗を行き来するといった相乗効果も生まれており、ソニーにとってはプラス効果になっているようだ。

立地が整えば、アップルストア再出店も?

 ソニーが攻勢を掛ける一方で、アップルストアはなぜ閉店したのか。今年2月のアップルストア札幌の閉店の際には、いくつかの噂が飛び交った。

 ビル全体をリニューアルするため、撤退を余儀なくされたという話や、アップルに全フロアを使用するように提案があったが、アップルがそれを受けなかったため閉店したといった話だ。だが、今回のソニーストア札幌の出店形態をみると、ビルのリニューアルは、設置されていたエスカレータを撤去して、エレベーターを設置するという工事に留まっている。また、ソニーストア札幌の出店は1階と2階であり、全館契約ではないことを考えても、いずれもアップルストア札幌の閉店の直接的な理由にはなっていないといえそうだ。

 関係者などからは、アップルストア札幌は、出店当初から時限的な契約を前提としていたのではないかとの話も聞かれる。しかも、この場所にはやや不便なところがある。

 立地としては札幌三越やファストファッションの店舗が隣接し、老若男女が訪れるエリアなのだが、地下道と直接つながっていないため、地下道を歩いてくると、一度外に出て、それから店舗に入る必要がある。寒い日が多かったり、雪が降ったりする札幌の環境を考えると、一度外に出るのは煩わしい。ただし、店舗前の道路は、ロードヒーティング(融雪機能)になっており、雪が降っても歩きやすい環境になっているのが救いだ。

 アップルストア札幌の再出店は現時点では未定となっているが、もし地下道に直結するような新築ビルの計画があれば、そうした場所への新たな出店を狙っているのかもしれない。

現在はアップルストアの看板を撤去しているところ
現在はアップルストアの看板を撤去しているところ
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アップルストアはビルの1階と地下1階を使用していたが、ソニーストア札幌はビルの1、2階になる
アップルストアはビルの1階と地下1階を使用していたが、ソニーストア札幌はビルの1、2階になる
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 いずれにしろ、ソニーストア札幌の出店は、ソニーファンにとっては、待望のものといえる。現在の計画では、1階にはデジタルカメラや液晶テレビ、オーディオなどのソニーの製品群を一挙に展示。2階にはシアタールームおよびギャラリーを設置することになるという。

 「店舗全体で約1000点の展示を予定している。また、新製品は、発表した翌日にはソニーストアに展示する。さらに、開発途中の製品も展示する予定。店舗内でのセミナーも開催し、カメラの清掃を定期的に実施できる環境も用意したい」とする。他店舗同様、「ソニーストアでは実際の製品を見て相談してもらい、買うのはいつもの店舗でも構わない」というのが基本姿勢だ。

 特に力を注ぐのがデジタルカメラの「α」だ。「北海道は、自然をはじめ、被写体には事欠かないエリア。地の利を生かして、αの魅力を、ほかの店舗以上に伝えていきたい。写真をもっと積極的に展示したり、写真が好きな人に楽しんでもらえたりするようなスペースを作りたい」と意気込む。

 札幌への出店で、新店舗の出店計画はひとまず完了するようだ。アップルストアのように都内に3店舗というような展開もないという。北は北海道から南は九州まで5つの拠点で全国をカバーしたソニーストア。各店舗からファンを拡大していく考えだ。