「タテパナ」と「ヨコパナ」

 パナソニック社内には、「タテパナ」と「ヨコパナ」という言葉がある。

 従来のような垂直型の組織構造を前提としたビジネス手法が「タテパナ」であり、それを生かしながら、横のつながりによって新たなものを生み出そうという手法が「ヨコパナ」。津賀社長が掲げてきた「クロスバリューイノベーション」も、言葉を変えれば「ヨコパナ」だ。このヨコパナでの発想が、コトづくりの実現につながっている。

 最後にもうひとつ、Creative!キャンペーンに関して、あるエピソードに触れておきたい。

 同社は、1964年にLIFE誌に掲載された松下幸之助氏と数々のパナソニック商品が並ぶ写真をモチーフにし、100周年の新たなカットをキャンペーンで使用している。

 このカットには、綾瀬はるかさんや西島秀俊さんをはじめとするパナソニックのイメージキャラクターに加えて、パナソニックの社員が一緒に写っているが、このなかに、津賀一宏社長も写っている。

1964年にLIFE誌に掲載された松下幸之助氏と数々のパナソニック商品が並ぶ写真
1964年にLIFE誌に掲載された松下幸之助氏と数々のパナソニック商品が並ぶ写真
[画像のクリックで拡大表示]
100周年を記念する新たなカット。Creative!の製品と社員、津賀社長も参加している
100周年を記念する新たなカット。Creative!の製品と社員、津賀社長も参加している
[画像のクリックで拡大表示]

 実は、津賀社長の参加が決定したのは、撮影10日前のことだったという。10日前に、偶然スケジュールが空いていることを知った社員の提案で、津賀社長の日程を押さえて、参加が実現した。 幸之助氏の写真をモチーフにしていた写真撮影で、社長不在で企画が進んでいたことも、社外の人間から見れば驚きだが、それをわずか10日前に、偶然スケジュールが空いていることを知った社員の提案で、参加を実現させたことにも筆者は驚いた。中堅、中小企業ならばともかくパナソニックという大企業において、10日後の社長のスケジュールを社員の提案で変更するということは普通ではない。パナソニックの「社内ルール」に則れば、現場からトップまで、いくつもの階層の承認を得て、物事が決まるのが通常の仕組みだからだ。

 こうしたパナソニックの従来の社内ルールを超えたスピード感を持った動きが、「Creative!」の成果のひとつだとすれば、パナソニックは、この100年を機に大きく変化したといえるかもしれない。