AIBOの遺伝子で実績を上げるVAIO

 AIBOを源流に持つもうひとつの企業がある。それがVAIOだ。

 VAIOは、ソニーのパソコン部門が独立し、日本産業パートナーズのもとに新たに設立した企業。この7月で設立から2年を経過した。VAIOの本社があり、生産拠点となっているのは、長野県安曇野市の旧ソニーEMCS長野テックだ。ここはソニー時代、パソコンだけでなく、AIBOの生産も行っていた経緯がある。そのノウハウを生かして、VAIOはロボットの受託製造を中核とした新規事業を、パソコン事業と並ぶ次の柱に育てようとしているのだ。VAIOの大田義実社長は、「2017年度には、パソコン事業の収益と新規事業の収益を1対1の割合にしたい」と語る。

長野県安曇野市にあるVAIO本社は、AIBOを生産していた旧ソニーEMCS長野テック
長野県安曇野市にあるVAIO本社は、AIBOを生産していた旧ソニーEMCS長野テック
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 すでに、ロボット事業の実績はあがっている。VAIOが受託製造しているロボットのひとつが、富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi(パルミー)」だ。2015年6月から受託製造を開始しており、高さ約40cm、重量約1.8kgの大きさに、各種センサーやカメラを内蔵。22個のサーボモーターを搭載することで、手首や足首まで細かく動く構造となっている。この量産においては、VAIOの生産ラインの実績を生かす一方、AIBOを生産していた当時の検査ノウハウも活用している。

富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi(パルミー)」
富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi(パルミー)」
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 VAIOには、Palmi以外にも、ロボットの製造受託でいくつかの実績があるようだが、守秘義務契約があるため公開できないという。VAIOの大田社長は、「ロボットの受託生産については、こちらから営業活動をしなくても、問い合わせが相次いでいる。一つひとつの案件に、しっかりと対応できる体制を構築することを優先したい」と語る。

 受託企業の間からは、「ソニー時代は、外部からの受託製造は行っていなかったが、VAIOになってからはソニー時代と同じ生産設備と製造品質を維持した形でお願いできるようになった。これは、我々にとっても大きなメリット」との声が上がる。さらに、VAIOでは、ロボット製造受託事業が軌道に乗れば、将来的に自社ブランドによるロボット生産も視野に入れていることを明かした。

 AIBOという同じ源流を持つ2つの企業が、時を同じくしてロボット事業を本格化させる。AIBOの子供たちともいえるロボットがこれから続々と登場することになりそうだ。