ソニーが得意なセンサー技術を生かせる

 ソニーがロボット事業に再参入する理由はいくつかある。

 ひとつは、業績回復が進むなかで、次の成長の柱を模索し始めたことだ。2017年度までの中期経営計画では、連結営業利益5000億円以上、ROE(自己資本利益率)10%以上という数値目標を掲げている。現状の2015年度実績では営業利益が2942億円と、目標到達にはまだ距離があることや、営業利益が5000億円以上となったのは、同社の歴史において、1997年に5257億円を計上した一度だけであることなどから、その達成を危ぶむ声が依然としてあるが、平井社長は、「エレクトロニクス領域において、新たな事業機会を創出するための取り組みを加速すべき時が来た」と発言。次の一手に向けた取り組みを開始しようとしている。それがロボット事業というわけだ。

 また、ロボット事業は、AIBOの経験に加えて、同社が持つ技術やノウハウを生かしやすい環境にあることも見逃せない。ソニーが得意とするセンサー技術はその最たるもので、これは同社が中期経営計画において掲げる成長牽引領域のひとつでもある。

 一時的には減速しているデバイス事業だが、平井社長は「中長期の視点で見ると、新たな用途の立ち上がりも期待され、潜在的に大きな成長が期待できる事業であるとの認識には変化がない。技術的優位性を持つソニーにとって有利な環境になってくるだろう」と語った。センサーを軸としたデバイス事業は、ソニーの強みを生かせる分野だと位置づけ、これをロボット事業における差異化にもつなげることができるとみているのだ。

 さらに、「ロボット事業は、将来的には、物流工程や製造工程など、広範な展開を行うが、これもソニーのノウハウを生かすことができる」と、産業用途についても積極展開する姿勢を示す。ロボット事業の具体的な事業計画や目標値を現時点では明らかにはしていないが、ソニーらしさを創出できる新たな事業に位置づけているのは間違いない。

ソニー本社
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