ソニーマーケティングは2017年4月1日、国内5つ目の直営店となる「ソニーストア札幌」をオープン。初日の営業時間終了後には、札幌を中心に活躍しているクリエーターを招いたイベント「SONY CREATORS NIGHT」を開催した。

 参加したのは、プロカメラマンや映像クリエーター、音楽クリエーター、IT系デザイナー、そしてライフスタイル関連のクリエーターなど、約200人。当初は150人程度を想定していたが、それを大きく上回るクリエーターが来場。ソニーストア札幌の店内は、多くのクリエーターたちで埋め尽くされた。ソニーマーケティングが今回、クリエーターを招待した背景には、地元のクリエーターに“ソニーファン”を増やし、北海道での発信力を高める狙いがあるようだ。

4月1日にオープンしたソニーストア札幌。札幌市営地下鉄「大通」駅から徒歩1分、三越札幌に隣接する場所にある。地元の人には、かつてはアップルストア札幌が出店していた場所といった方が分かりやすいかもしれない
4月1日にオープンしたソニーストア札幌。札幌市営地下鉄「大通」駅から徒歩1分、三越札幌に隣接する場所にある。地元の人には、かつてはアップルストア札幌が出店していた場所といった方が分かりやすいかもしれない
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SONY CREATORS NIGHTに参加した札幌のクリエーターたち。約200人が参加した
SONY CREATORS NIGHTに参加した札幌のクリエーターたち。約200人が参加した
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オープンイベントではクリエーターたちがパフォーマンス

 ソニーマーケティングの河野弘社長は、「ソニーストア札幌を通じて、ソニーの優れた製品とユニークなコンテンツを、北海道全体に届けたい。液晶テレビの4K BRAVIA、デジタルカメラのαシリーズ、さらには、ウォークマンやプレイステーションVR、Xperiaのほか、子供の創造力をくすぐる(ロボットプログラミング学習キットの)KOOVといった製品もある。また、音楽やゲームなどのコンテンツもある。これらを組み合わせた情報発信を行っていく」と意気込みを語った。

 加えて、ソニーマーケティングの社長就任後も、兼務でソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの社長を務めていたことに触れながら、「ソニーストア札幌をオープンするときには、以前からお付き合いがあったクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長に、『そのときには協力するよ』と言われていた」というエピソードを披露。札幌に本社を置く同社の代表的製品である歌声合成ソフトウエア「初音ミク」がナビゲーターとして登場し、ソニーストア札幌を紹介するといったサプライズが待っていた。

 会場には、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤社長も来場。ソニーマーケティングの河野社長は、札幌のクリエーターたちと懇親を深めながら、「ぜひ、ソニーを、札幌のコミュニティーの一員に加えていただきたい」と語った。

「初音ミク」がナビゲーターとして、ソニーストア札幌を紹介
「初音ミク」がナビゲーターとして、ソニーストア札幌を紹介
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ソニーマーケティングの河野弘社長とクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長(右)
ソニーマーケティングの河野弘社長とクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長(右)
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 イベントでは、1階のソニーストア札幌店内をクリエーターたちが自由に内覧。2階の会議室は「UX Lounge」と称して、プロジェクターやスピーカーなどソニーの「Life Space UX」シリーズの製品群を展示するとともに、欧州の「PlayStation 3」のCMの音楽プロデュースなども手掛けるサウンドアーティストの大黒淳一さんと、アルバムのジャケットデザインや、ミュージックビデオのアートディレクターとして活躍するPATANICさんの2人が、DJおよびVJとして会場を盛り上げた。また、札幌で活躍し、キタキツネ写真家としても有名な井上浩輝氏をはじめとする4人の写真家の作品を展示したギャラリーを公開。さらに、このイベントのために、「Sony Design」コーナーを設置して、1955年に発売されたソニー初のトランジスタラジオ「TR-55」や、初代ウォークマン、ハンディカム、AIBOなどを展示していた。

UX Loungeでは、サウンドアーティストの大黒淳一さん(右)とアートディレクターのPATANICさんが、ソニーのプロジェクターやスピーカーを使いながら盛り上げた
UX Loungeでは、サウンドアーティストの大黒淳一さん(右)とアートディレクターのPATANICさんが、ソニーのプロジェクターやスピーカーを使いながら盛り上げた
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ソニーがクリエーターをストアに招いた理由とは

 ソニーストアは、ソニーの全製品を展示し、発売前の製品を体験したり、カメラのメンテナンスを受けられたりするサービスの拠点だ。北海道では初公開となる100型4K液晶テレビ「KJ-100Z9D」を4月23日まで展示したり、常設のシアタールームでは、発売前の超短焦点4K HDRホームシアタープロジェクター「VPL-VZ1000」を4月16日まで先行体験したりできる。また、写真家やプロカメラマンが加入しているソニー・イメージング・プロ・サポート会員を対象にしたαメンテナンスやαプロサポートの提供も行う。

 ソニーストアは札幌で5店舗目だが、ソニーがソニーストアでクリエーターを対象にしたイベントを開催したのは今回が初めてのことだ。開催した理由を、ソニーマーケティング広報・渉外部の宮田紗由理氏は、「まずは、クリエーターの方々に、ソニーに関心を持ってもらう狙いがあった」と語る。

ソニーマーケティング 広報・渉外部の宮田紗由理氏
ソニーマーケティング 広報・渉外部の宮田紗由理氏
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 今回のイベントは、マーケティング部門やソニーストア札幌が企画したものではなく、広報部門が企画、運営したという点でも異例のもの。そのため、イベントのコンセプトもユニークだ。

 イベントにはソニーの事業部から、BRAVIA、α、ウォークマンなどに関わるエンジニア約10人が参加。エンジニアたちには、「会場で製品の特徴を説明するのではなく、製品のこだわりについて、クリエーターに話をしてほしいと要望した。製品を買ってもらったり、ソニーストアの会員になってもらうことが目的ではなく、ソニーのモノづくりに対するこだわりの姿勢が、クリエーターが持つこだわりと合致している点を知ってもらいたかった」と話す。

エンジニアがソニーのモノづくりへのこだわりを説明
エンジニアがソニーのモノづくりへのこだわりを説明
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 来場したクリエーター200人のうち、約3分の1がプロカメラマンだったが、そのなかでソニー・イメージング・プロ・サポートの会員は約20人。つまり、参加者のほとんどはキヤノンやニコンのユーザーだった。そうした他社のカメラを持つプロカメラマンがすぐにソニーのカメラやレンズに買い換えるとは考えにくいが、カメラやレンズのモノづくりに対するソニーの考え方を知ってもらうとともに、他の製品に対するモノづくりのこだわりを知ってもらい、それらの製品を通じて、クリエイターに刺激を与えたり、ソニーの製品を創作活動などに生かしてもらうといった狙いもあったようだ。

ソニーファンのクリエーターの影響力に期待

 もうひとつの狙いは、クリエーターを介した情報発信力を高めるということだ。  「新聞やテレビ、雑誌、ウェブ媒体を通じたニュース発信に加えて、SNSも重要な情報発信手段となる。プレスリリースの内容だけでは、潜在顧客に伝えたい情報が伝わらない。クリエーターから発信される『信頼できる情報』によって、ソニーが持つ好奇心やテクノロジーへのこだわりを、多くの人に伝えてもらいたい」とする。

 今回のイベント、SONY CREATORS NIGHTも、札幌で活躍するクリエーターの口コミを活用。コアとなるクリエーターとつながっているクリエーターを招待したため、なかには、ソニーとの接点が薄い人がいたのも事実だ。

 ソニーストアは、もともとソニー製品の購入前から購入後までをカバーすることで、「ソニーファン」を作ることを目指してきた。クリエーターのなかにも、ソニーファンを創出したいというのが、今回のイベントの主旨であり、そこからソニーに関する情報を発信してもらうことを狙っている。

 ソニーマーケティングの河野社長は、「すべての情報を東京から発信することに疑問を持っている。東京での取り組みと、それぞれの都市での取り組みを組み合わせないと、日本は盛り上がらないと考えている」とし、「今後は、ソニーストア札幌で、ソニーミュージックのアーティストのイベントもやりたい。北海道で人気が高いミュージシャンに来てもらうといったことも考えている。そこには、札幌のクリエーターのみなさんもぜひ参加していただいきたい」とする。

ソニーマーケティングの河野社長は、札幌のクリエーターたちと懇親を深める
ソニーマーケティングの河野社長は、札幌のクリエーターたちと懇親を深める
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 開店にあわせて、そら植物園の協力を得て、ソニーストア札幌店内に、実物の桜を展示。ひと足早い札幌の春を店内に実現し、札幌の人たちを驚かせてみせた。
 開店にあわせて、そら植物園の協力を得て、ソニーストア札幌店内に、実物の桜を展示。ひと足早い札幌の春を店内に実現し、札幌の人たちを驚かせてみせた。
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 ソニーは、ここ数年、付加価値を重視したモノづくりに取り組んできた。それとともに、メッセージの打ち出し方も変化し、長期的視点でファンづくりを目指す仕掛けが増えている。ソニーストアを運営するソニーマーケティングも、「カスタマーマーケティング」を打ち出し、短期的な販売増加よりも、長年にわたる顧客とのリレーションシップを重視する姿勢を明確にしてきた。今回のソニーストア札幌でのイベントやクリエーターとの交流も、その一環だ。ソニーの業績が回復し、ソニーマーケティングも7年ぶりの増収増益を目指す計画を打ち出すなど、ソニーに「余力」が見え始める中、長期的視点での“ファン作り”の施策は一層強まっているようだ。

(文/大河原克行)

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