あえて公園にしたのが「ソニーらしいところ」

 ただし、2020年の銀座ソニーパーク閉鎖後は、地下部分も完全に作り直されることから、50年前の壁を、現物として見られるのは、ソニーパーク閉鎖までの期間だ。

 実は、ソニービルの解体作業は、建設業界にとっても、ユニークな取り組みの一つだ。

 従来、古い建物に対する選択肢は、「残す」か「壊すか」のいずれかだった。昨今では、これに「リノベーション」という仕組みで「工夫して残す」という選択肢が増えた。だが、ソニービルはこれのいずれとも違う。建屋は壊しながらも、銀座ソニーパークという公園の形にして残す、つまり、「工夫して壊す」という新たな選択肢を実現するものになったからだ。

ソニー企業の永野大輔社長
ソニー企業の永野大輔社長
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 ソニー企業の永野社長は、「一度、公園にするという発想はこれまでの建設業界ではあまり見られなかったもの。公園を作ることで、街に緑が増えたり、街に新たなリズムが生まれたりする。人の流れも変わる。建て替えというスキームの中で、こうした新たな提案ができるきっかけになればと考えている」という。

 一時的に更地にする場合、コインパーキングとして利用したり、誰も入れないように囲ったりするケースはよくあるが、公園という開かれた場所にすることを選んだのも、ユニークな点だ。

 「2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、都心部は建設ラッシュ。そんな中、ビルを建てるのではなく、まずは壊して、オリンピック・パラリンピックが終わるまでビルを建てないという選択肢を選んだ。人のやらないことをやる、ソニーらしいところ」と永野社長は笑う。

 期間限定とはいえ、銀座の一等地を公園にすることで、ソニーパークは銀座の街を訪れた人たちが集ったり、憩いの場として利用したりだろう。外国人観光客の増加も期待されるなか、銀座の人の流れにもアクセントをつけることになりそうだ。

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