95トンの重しで浮きを抑える

 一つは、従来は機械室などとして使われていた地下5階部分に、約95トンもの銑鉄(せんてつ)や土砂を入れたことだ。

 先にも触れたように、銀座ソニーパークでは、地下部分は改装して残しながら、地上部分を解体する。その結果、上物部分の重量が一気に軽くなるという。ソニー企業の永野大輔社長によると、「東京の都心部は地下水が豊富で、地下水の水位も流動的だ。近くでビル建設が始まると、それによって地下水の水位も変わることになる。実は、ソニービルの上物部分が無くなったことで、浮力が生まれ、地下部分が浮いてくることが想定された。季節ごとの地下水量の変化、近隣の建物建設などを考慮した構造計算を行い、必要な重量の“重し”を一番低い場所に入れた」という。

地下部分に入れた銑鉄の様子。95トンもの重さになる
地下部分に入れた銑鉄の様子。95トンもの重さになる
[画像のクリックで拡大表示]

 地下4階までは店舗や駐車場があったため、かつては出入りができたが、地下5階は、もともと機械室として、一般には公開されていない場所だった。ここに、金の延べ棒のような形状の銑鉄を積み重ね、土砂を流し込んで重しとして利用。浮力を抑えているという。これは、2020年秋以降、新たなビルを建設する際には撤去することになる。

 もう一つは、改装している地下部分で、約50年前の壁が、偶然発見されたことに伴う。テナントが変わる度に、新たに壁を重ねたり、塗装をし直したりが繰り返されてきたが、今回の改装工事によって、オープン時の青いタイルの壁が、解体した壁の裏側から出てきたという。

 「工事の際にも慎重に作業し、従来の壁を壊さないようにした。この壁は、2018年7月の銀座ソニーパークのオープンにあわせて、多くの人に見ていただくことができるだろう」(永野社長)という。 銀座ソニーパークでは、オープンにあわせて、「解体をデザインする」というコンセプトで、ソニービルの面影を残すような取り組みを進めている。それを具現化するのが、この壁ということになる。

地下1階で偶然発見されたオープン当時のタイル
地下1階で偶然発見されたオープン当時のタイル
[画像のクリックで拡大表示]