シャープに左右される東芝・白物家電の先行き

 問題となるのは白物家電事業だ。「白物家電事業の売却先として、シャープは選択肢のひとつ」と、室町社長は語るが、これは、シャープが、産業革新機構の支援案を選択することが前提でもあった。だが、シャープが鴻海の支援案を採用すれば、シャープと東芝の白物家電事業の統合という案は宙に浮く。東芝は新たな白物家電事業の売却先を探さなくてはならないわけだ。

 室町社長も、「ディールが変われば、海外企業への売却も選択肢のひとつに入る」と語っている。候補として浮上するのが、中国スカイワースだろう。東芝が持つ中国国内の2つの生産子会社に対して、スカイワースが出資している実績があるほか、2015年9月には、中国市場向けの白物家電事業の販売権をスカイワースに譲渡。さらに、12月には、インドネシアにある二層式洗濯機工場とテレビ工場の閉鎖を決定したのに併せて、この土地と建物をスカイワース社へと売却することを発表している。徐々に距離感を縮めている両者が、今後の再編に向けて、話し合いを急ピッチで進める可能性は捨てきれない。

 本来ならば、他の国内家電メーカーにも支援を求めたいところだろうが、パナソニックの河井英明代表取締役専務は、こうした再編の動きに対して、「当社の白物家電事業は好調であり、自分たちの事業をしっかりやっていきたい。何かを意図したり、何かに興味があったりするわけではない」とし、これらの再編の動きには参入しない姿勢をみせる。いまや、 白物家電事業が、屋台骨を支える事業ではなくなっている日立製作所や三菱電機なども、その姿勢は変わらないだろう。

 こうしてみると、シャープの白物家電事業は台湾の鴻海精密工業の傘下で再スタートし、東芝の白物家電事業は中国スカイワース傘下での再生の可能性が高い。日本の家電メーカーが、また減っていくことになるのだろうか。