米国をはじめ、英国、ロシア、ドイツなど世界で23店舗を展開するバーチェーン「コヨーテアグリーサルーン」が日本に初上陸。2016年12月8日、アジア初となる「コヨーテアグリーサルーン六本木」がオープンした。

 同店は、“コヨーテガール”と呼ばれるセクシーな女性バーテンダーが、カウンター上でワイルドなパフォーマンスを繰り広げて客を盛り上げる独特な営業スタイルが特徴。1993年、ニューヨーク大学出身でウォール街でのインターンシップを目指していた20代のリリアナ・ロベル氏が、女性バーテンダーに転身した自身の経験をもとに同店を作り上げた。

 するとたちまち人気店となり、2000年には映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで有名なジェリー・ブラッカイマー・フィルムズが製作費4500万ドルをかけ、同店を舞台にした映画『コヨーテアグリー』を製作。興行収入1億1000万ドル超という大ヒット作品となった。映画のヒットと同時に同店も世界的に知名度を上げ、ラスベガス、ニューオーリンズ、オクラホマをはじめ、ロシア、ドイツ、英国などにも多店舗展開した。 2015年からはフランチャイズビジネスを開始し、さらなる拡大路線を展開。日本でフランチャイズ契約を結んでいるBanc(東京都港区)は、東京を中心に全国の首都圏への出店を計画しており、3年で15店舗程度の開業を目指しているとのこと。

 米国では、同店でコヨーテガールとして働けることは女性にとって大きなステータスであり、コヨーテガールを募集すると1店舗あたり600人から1000人程度の応募があるという。日本でのオープンに際し行ったオーディションには、約100人が応募。創業者のリリアナ・ロベル氏も立ち合って30人を選出した。選出後も全員がすぐコヨーテガールとして店に出られるわけではなく、来日したコヨーテアグリーのトレーナーからダンスなどのレッスンを受け、さらに選抜されたメンバーが交代で店に出る。また米国の店舗から来日した4人の外国人ダンサーも期間限定で登場するという。

 映画で見たようなあの煽情的でワイルドなパフォーマンスは、日本人に受けるのか。オープン直前の内覧会で探ってみた。

「コヨーテアグリーサルーン ロッポンギ」(港区六本木3-12-6 六本木プラザビル8~9階)。地下鉄大江戸線・日比谷線「六本木」駅から徒歩1分。営業時間は19~28時。日曜定休。店舗面積は150坪以上で、2フロア合わせて約250人が収容可能
「コヨーテアグリーサルーン ロッポンギ」(港区六本木3-12-6 六本木プラザビル8~9階)。地下鉄大江戸線・日比谷線「六本木」駅から徒歩1分。営業時間は19~28時。日曜定休。店舗面積は150坪以上で、2フロア合わせて約250人が収容可能
[画像のクリックで拡大表示]
コヨーテガールが踊れる広さのカウンターを確保するため、同店を開業するには60坪以上のフロアであることが必要条件だという。8階中央にはスタンディング用のハイテーブル中心(一部ソファ席あり)
コヨーテガールが踊れる広さのカウンターを確保するため、同店を開業するには60坪以上のフロアであることが必要条件だという。8階中央にはスタンディング用のハイテーブル中心(一部ソファ席あり)
[画像のクリックで拡大表示]
バーカウンター上部は吹き抜けになっていて、9階のVIP席からパフォーマンスが見える
バーカウンター上部は吹き抜けになっていて、9階のVIP席からパフォーマンスが見える
[画像のクリックで拡大表示]
オープン直前の内覧会では、米国から来日したダンサーたちとともに、オーディションで選出されたコヨーテガールが激しいパフォーマンスを披露した
オープン直前の内覧会では、米国から来日したダンサーたちとともに、オーディションで選出されたコヨーテガールが激しいパフォーマンスを披露した
[画像のクリックで拡大表示]
内覧会にはタレントの橋本マナミも登場し、コヨーテガールとセクシーポーズを披露した
内覧会にはタレントの橋本マナミも登場し、コヨーテガールとセクシーポーズを披露した
[画像のクリックで拡大表示]

700円のドリンクだけでもパフォーマンスが楽しめる

 コヨーテアグリー六本木があるのは、六本木交差点から徒歩1分の路地。ディスコ「マハラジャ」などが入っているかなり古いビルだ。エレベーターで8階に上がり、店内に入ると、中はビンテージアメリカン風のインテリア。しかし、よく見ると、カウンターの周囲には無数のブラジャーが無造作に飾られている(というか、あちこちに引っかかっている)。

 コヨーテガールがパフォーマンスを披露するメインカウンターに加え、各フロアにドリンク提供用として1カ所ずつカウンターを設置。メインカウンターに4人前後、各バーカウンターには2人程度のコヨーテガールを配置し、男性バーテンダーは置かない。

 カウンターの上が吹き抜けになっているのは、カウンター上で踊るため、梁下3.5メートルの高さが必要だから。意外だったのは、料金体系。こうしたパフォーマンスを売り物にする営業形態なら、ある程度のチャージ料がかかるのが普通だ。しかし同店の場合、スタンディング席中心の8階はノーチャージ。キャッシュオンデリバリーで、税込み700円からのドリンクだけでもパフォーマンスが楽しめる。

 9階のVIP席は吹き抜けから8階のカウンター上のパフォーマンスが見られる作りになっていて、フルサービスのシステム。こちらは1テーブルにつき、税込み1万円のチャージ料がかかる。

 平均客単価は3000円で、1日平均で約250人の来店、月商2000万円を見込んでいる。店舗面積からすると月商が低すぎる気がするが、これは外国人客が1~2杯飲んで帰る場合が多いこと、食事メニューがおつまみ程度の軽食中心であるためだ。「食事をしに来る店というより、1次会前に軽く飲む0.5次会、二次会、三次会などの利用シーンを想定している。多くの人に気軽に使ってもらえるように、料金設定を低めに抑えた」 (Banc 飲食FC事業部の後藤遊氏)。

 競合は、フーターズとHUBだという。女性スタッフがチアリーダー姿で接客するフーターズが競合なのは分かるが(関連記事「目のやり場に困る?―― チアリーダー姿で接客する「フーターズ」ついに上陸」)、英国風パブの業態であるHUBが競合なのはなぜか。「フーターズはレストランなので飲食形態では競合しない。提供する飲食はHUBに近い」(後藤氏)。今後は六本木店オリジナルのメニューも増やしていきたいという。

オールドアメリカンなテイストで統一された店舗内装。無数のブラジャーがオブジェのように飾られている
オールドアメリカンなテイストで統一された店舗内装。無数のブラジャーがオブジェのように飾られている
[画像のクリックで拡大表示]
壁際にはソファ席もある
壁際にはソファ席もある
[画像のクリックで拡大表示]
ドリンクメニュー。ビールは税込み700円、カクテルも税込み700円からあるが、メニューには税込み25万円のドンペリも
ドリンクメニュー。ビールは税込み700円、カクテルも税込み700円からあるが、メニューには税込み25万円のドンペリも
[画像のクリックで拡大表示]
フードはその国や土地に応じたメニューを出してよいことになっている。「ポップコーン」「スパイシーチップス」(税込み300円)と「ごろっとピクルス」(税込み700円)、「サーモンカルパッチョ」(税込み800円)
フードはその国や土地に応じたメニューを出してよいことになっている。「ポップコーン」「スパイシーチップス」(税込み300円)と「ごろっとピクルス」(税込み700円)、「サーモンカルパッチョ」(税込み800円)
[画像のクリックで拡大表示]

米国では3割が女性客!

 大音響のダンスミュージックとともに、メインカウンターにいよいよコヨーテガールが登場。まずその音楽のボリュームにびっくり。目の前で見るコヨーテガールは、さすがの迫力。女子プロレスの悪役を連想させるワイルドなメイクやコスチュームと相まって、正直「セクシー」というより「怖い」という印象。ダンスが始まると、さらにその印象は強まるばかり。果たして繊細な日本人男性に、このワイルドすぎるパフォーマンスは、どこまで受け入れられるのだろうか。

 筆者の疑問や不安とは関係なくコヨーテガールのダンスは続き、いよいよ、客とコヨーテガールがいっしょに繰り広げる“煽(あお)り”というパフォーマンスに突入。そのクライマックスは、カウンターに横たわったコヨーテガールの腹部に置いたショットグラスから、客が手を使わずにお酒を飲む「ボディショット」。税込み2000円という金額が高いのか安いのかはよく分からないが、盛り上がっている大勢の客に注目されるなか、コヨーテガールに囲まれ、煽られながら飲む非日常的な演出を考えると、(そういうシチュエーションが好きな人には)安いのかもしれない。

 同店のメインターゲットは会社員や外国人客だが、意外にも女性客も見込んでいるという。「米国では意外に女性客が多く、男女比は7:3程度。結婚式前夜に女友達が集まって、コヨーテアグリーで思いっきり盛り上がるという話もよく聞く。日本でも女子会需要はかなりあるのでは」(後藤氏)。女性同士でハメを外したいときに最適なスポットとしてブレークするかもしれない。

コヨーテガールズのパフォーマンス
コヨーテガールズのパフォーマンス
[画像のクリックで拡大表示]
創業者のリリアナ・ロベル氏。「オープンしてから23年たち、ついに日本にオープンできたことにとても感激している。パフォーマンスはすべて、私がバーテンダー時代に体験したもの。この非日常的な体験を日本の方にも楽しんでほしい」と語った
創業者のリリアナ・ロベル氏。「オープンしてから23年たち、ついに日本にオープンできたことにとても感激している。パフォーマンスはすべて、私がバーテンダー時代に体験したもの。この非日常的な体験を日本の方にも楽しんでほしい」と語った
[画像のクリックで拡大表示]

(文/桑原恵美子)