2007年3月の「東京ミッドタウン」(東京・赤坂)開業から11年後の2018年3月29日、三井不動産が手がける新たな複合施設「東京ミッドタウン日比谷」がグランドオープンする。2017年11月30日に開催されたメディアを対象とした発表会で、その概要が明らかとなった。

 三井不動産ミッドタウン日比谷事業室の豊蔵英介室長は「伝統ある映画・演劇のコンテンツやホテル文化を生かし、大人が楽しめる正統派の、銀座とはひと味違う街づくりを目指す」と抱負を語った。

 フロア構成は地下1階から地上7階までが商業ゾーン、6階の一部と8階以上がオフィスゾーン。商業ゾーンには計60店舗のテナントが出店予定で、そのうちの5店舗が日本初出店となる(飲食店は2店舗)。14店舗が商業施設初出店で22店舗が新業態だという。

 また4~5階には全11スクリーン、約2300席の「TOHOシネマズ 日比谷」が開業予定。隣接する東京宝塚ビル内の2スクリーンと一体になって運営することで、全13スクリーン、約3000席を誇る、都心最大級のシネマコンプレックスが誕生する。

2018年3月開業予定の「東京ミッドタウン日比谷」(千代田区有楽町1-1-2)。地上35階、地下4階、ペントハウス1階。敷地面積約1万700平米、延床面積約18万9000平米。店舗数は60
2018年3月開業予定の「東京ミッドタウン日比谷」(千代田区有楽町1-1-2)。地上35階、地下4階、ペントハウス1階。敷地面積約1万700平米、延床面積約18万9000平米。店舗数は60
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設計責任者は英国を代表する建築事務所・ホプキンスアーキテクツ。柔らかな印象のファザードのコンセプトは「ダンシングタワー」。かつて日比谷にあった鹿鳴館からインスピレーションを受けたという。低層部では石造りのエッセンスを取り入れ、優美さを表現している
設計責任者は英国を代表する建築事務所・ホプキンスアーキテクツ。柔らかな印象のファザードのコンセプトは「ダンシングタワー」。かつて日比谷にあった鹿鳴館からインスピレーションを受けたという。低層部では石造りのエッセンスを取り入れ、優美さを表現している
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 テナント60店舗の半分以上は飲食店。地下鉄3路線と直結するアクセス抜群の地下1階には、バラエティー豊かな8つの業態が集まる駅直結のフードコート「HIBIYA FOOD HALL(ヒビヤ フード ホール、仮称)」が出店。玄関口となる広場「日比谷ゲートプラザ(仮称)」に面した1階には、日本に初上陸の米国の人気レストラン「Buvette(ブヴェット)」が出店する。2階のレストランゾーンには海外で人気のモダン炉端焼きや天ぷらを出す立ち飲み店など、カジュアルで旬な飲食店を集める。

 これに対し、3階のレストランゾーンには京都の老舗料亭「瓢亭」の新業態など、高級店が集まっている印象だ。皇居外苑、日比谷公園から続く緑を眺められる6階には、人気飲食企業・バルニバービの新業態でハイクラス層を狙った約150席のレストランがオープンする。

 施設はまだ建設中だが、発表会で明らかになった注目ポイントを、飲食店を中心に紹介していく。

1階北側には階段のある劇場型の空間「日比谷ゲートプラザ」が整備される。映画・演劇等の国際的なエンターテインメントイベントを誘致、開催する予定だという
1階北側には階段のある劇場型の空間「日比谷ゲートプラザ」が整備される。映画・演劇等の国際的なエンターテインメントイベントを誘致、開催する予定だという
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伝統的な劇場空間を参考にした1~3階までの吹き抜けのアトリウムには、緩やかなカーブを描いた優雅な空間が広がる
伝統的な劇場空間を参考にした1~3階までの吹き抜けのアトリウムには、緩やかなカーブを描いた優雅な空間が広がる
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日比谷で“立ち飲み”がトレンドに? パン飲みも

 飲食店では、ユニークな立ち飲み店が多いことが特徴だ。地下1階に博多で大人気の「住吉酒販」が東京に初出店し、角打ちコーナーを併設するほか、ブーランジェリー「JEAN FRANCOIS(ジャン フランソワ)」では溶かしたチーズをフランスパンにつけてワインを楽しむ「パン飲み」を提案。早い時間からワインを楽しめる隠れスポットとして注目したい。

 2階には天ぷらを提供する立ち飲み店の「喜久やTokyo」が出店、3階には2年連続でミシュランガイド・ビブグルマンに掲載された立ち飲み店「三ぶん・三分亭」が東銀座から移転してオープンするなど、立ち飲み店のレベルの高さも特筆すべきことだろう。

 日本初出店の飲食店は2店舗。1階のブヴェットは米国・ニューヨークで“街の小食堂”として人気の店で、東京ミッドタウン日比谷店はパリに続いて海外2店舗目となる。3階の「RESTAURANT TOYO(レストラン トーヨー)」はデザイナー・高田賢三氏のプライベートシェフを経験し、現在パリで注目されている中山豊光シェフが手がける。

 そのほか、コスメブランド「THREE」が展開する新業態のデリ併設レストラン「REVIVE KITCHEN THREE(リバイブ キッチン スリー、仮称)」、東京ミッドタウンでクラブ&レストランを手がけるBillboard Live(ビルボードライブ)の新業態となるミュージックカフェ&ダイニングなど、都内各地の人気レストランの新業態が多いのも楽しみだ。

ニューヨークの「Buvette(ブヴェット)」がパリに続いて日本に初出店。女性オーナーシェフが提案する、フランスの家庭料理のような温かみと現代的なセンスが融合した料理が人気だという
ニューヨークの「Buvette(ブヴェット)」がパリに続いて日本に初出店。女性オーナーシェフが提案する、フランスの家庭料理のような温かみと現代的なセンスが融合した料理が人気だという
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パリで注目される中山豊光シェフの日本初出店の店「RESTAURANT TOYO(レストラン トーヨー)」。懐石料理の美意識を感じさせる繊細なフレンチは女性に受けそう
パリで注目される中山豊光シェフの日本初出店の店「RESTAURANT TOYO(レストラン トーヨー)」。懐石料理の美意識を感じさせる繊細なフレンチは女性に受けそう
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3階には銀座のオーセンティックバーの草分け的存在「STAR BAR(スター バー)」の旗艦店が施設初出店。カリスマバーテンダー・岸久氏考案のオリジナルカクテルを提供予定
3階には銀座のオーセンティックバーの草分け的存在「STAR BAR(スター バー)」の旗艦店が施設初出店。カリスマバーテンダー・岸久氏考案のオリジナルカクテルを提供予定
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 また、地下鉄の駅直結の地下1階には博多の老舗和菓子店「鈴懸」や、“第四のチョコ”として注目されている「ブロンドチョコ」を使ったスイーツを展開する「Pâtisserie & Café DEL'IMMO(パティスリー&カフェ デリーモ、仮称)」、できたてのカスタードアップルパイをその場で提供する「RINGO(リンゴ)」など、手土産需要をカバーする店もそろう。

カレーパンが人気の三軒茶屋のベーカリー「boulangerie Bonheur(ブーランジェリー ボヌール)」(地下1階)。ソフトシェルクラブのフライを丸ごとはさんだコッペパンサンドなどユニークな商品も
カレーパンが人気の三軒茶屋のベーカリー「boulangerie Bonheur(ブーランジェリー ボヌール)」(地下1階)。ソフトシェルクラブのフライを丸ごとはさんだコッペパンサンドなどユニークな商品も
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「Patisserie & Cafe DEL'IMMO(パティスリー&カフェ デリーモ、仮称)」(地下1階)ではフランス「ヴァローナ社」がブラック、ミルク、ホワイトに続く第4のチョコレートとして開発した「ブロンドチョコ」を使ったスイーツを提供
「Patisserie & Cafe DEL'IMMO(パティスリー&カフェ デリーモ、仮称)」(地下1階)ではフランス「ヴァローナ社」がブラック、ミルク、ホワイトに続く第4のチョコレートとして開発した「ブロンドチョコ」を使ったスイーツを提供
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老舗書店の異業種新業態にも注目

 物販で注目したいのは、老舗書店の有隣堂が展開するヒビヤ セントラル マーケットだろう。延べ床面積780平米以上の売り場にアパレル、雑貨、飲食、理容、眼鏡、書籍、コーヒースタンド、ギャラリーという異業種を集めている。「有隣堂は108年の歴史の中で、本とともに情報や娯楽、夢を売ってきたと考えている。書籍が売れなくなってきて書店の再定義が必要な時代に、改めて“面白い店”とは何かを考えた」(有隣堂)。

 同社によると、施設内に新しい小さな街を作ることを試みているそうだ。施設を手がけたクリエイティブディレクターの南貴之氏も「目的がなくても1日中過ごせる老若男女の居場所を作りたい」と話す。模型を見ただけではどんな空間になるか想像もつかないが、完成するのが楽しみなスポットのひとつだ。

「HIBIYA CENTRAL MARKET(ヒビヤ セントラル マーケット)」ではヴィンテージ眼鏡のコレクターアイテムなどを販売する「CONVEX(コンベックス)」や理髪店「理容ヒビヤ」、ビストロメニューと蕎麦が同時に楽しめる飲食店「一角」など、ユニークな業態が揃う予定だ
「HIBIYA CENTRAL MARKET(ヒビヤ セントラル マーケット)」ではヴィンテージ眼鏡のコレクターアイテムなどを販売する「CONVEX(コンベックス)」や理髪店「理容ヒビヤ」、ビストロメニューと蕎麦が同時に楽しめる飲食店「一角」など、ユニークな業態が揃う予定だ
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 また、1階に入るレクサスの世界初の体験型施設「LEXUS MEETS...(レクサス ミーツ、仮称)」は、レクサスと三越伊勢丹がセレクトした雑貨のブティックや席数100以上のカフェと車両展示が一体となり、レクサスブランドの世界観を表現した空間となっている。クルマ離れが進むなか、「クルマのあるラグジュアリーなライフスタイル」をレクサスになじみがない人にも楽しんでもらうのが狙いだという。

全車種の試乗設置を予定しているという「LEXUS MEETS...(レクサス ミーツ)」の模型。100席以上あるカフェでは三越伊勢丹トランジットが手がけるメニューを提供
全車種の試乗設置を予定しているという「LEXUS MEETS...(レクサス ミーツ)」の模型。100席以上あるカフェでは三越伊勢丹トランジットが手がけるメニューを提供
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 国際色も豊かだが、地方色豊かな物販店や飲食店も目立つ。東京ミッドタウンと共通したものを感じたが(関連記事:東京ミッドタウン、大リニューアルで“地方発信型ショップ”に!?)、これは東京ミッドタウンブランドに「ジャパン・バリューを世界に発信しつづける街」という共通ビジョンがあるためなのだろう。

施設は日比谷駅直結。JR有楽町駅からは徒歩5分、銀座駅からは徒歩5分(地下通路にて直結)
施設は日比谷駅直結。JR有楽町駅からは徒歩5分、銀座駅からは徒歩5分(地下通路にて直結)
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(文/桑原恵美子)

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