真の狙いは「スーパーとフードコートの融合」だった

 また“ニューヨーク風のフードコート”をイメージしたとのことだが、ニューヨークで流行しているフードコートは人気の個店が共同で出店するケースが多いのに対し(関連記事「肉刺しカクテルが売り!? 品川にNY風フードコート」)、ここは7店中3店が自社プロデュース店というのも物足りなさを感じてしまう。

 それもそのはず、同社には別に大きな狙いがあるという。「従来のスーパーの総菜売り場はどの店舗も同じ味にして効率的に提供するのが必須条件。そのためにはパートが調理できるよう、キット用食材に頼らざるを得なかった。せっかく自慢できるいい食材をそろえているのに、総菜売り場と連動したアピールができないことを残念に思っていた」(工藤部長)。同店ではそうした問題を解決するため、人件費がかかることは覚悟の上でプロのシェフに自社スーパーの食材を使い、総菜を作ってもらうことにした。それによって自社スーパーの食材のおいしさをアピールし、できたての総菜を買い求めてもらうのが狙いだ。

 じつは今、こうした運営方法を目指しているスーパーが多いとのこと。「総菜コーナーをイートインにしている店も増えているが、それをフードコートに発展させたのがこの店舗。だから有名店を誘致するよりむしろ、自社プロデュースの店舗をもっと増やしたい。将来的には、スーパーの食材を使い、パートの人の得意料理なども出せるようにするのが理想」(工藤部長)。

 売れ残った食材を店内で新鮮なうちに調理できれば、廃棄ロスの減少にもつながる。このような“フードコートとスーパーのハイブリッド”が成功すれば、小売り業界に大きな変化が起こるかもしれない。

「アンテナアメリカ」のカウンターに日中だけ併設されている、サンフランシスコ生まれの紅茶専門店「マイティーリーフ」。「クラッシックブラック」は1杯400円
「アンテナアメリカ」のカウンターに日中だけ併設されている、サンフランシスコ生まれの紅茶専門店「マイティーリーフ」。「クラッシックブラック」は1杯400円
[画像のクリックで拡大表示]
鮮魚売り場では店内厨房で作った干物を販売している。作り立ては身がふっくらしていて軟らかいという
鮮魚売り場では店内厨房で作った干物を販売している。作り立ては身がふっくらしていて軟らかいという
[画像のクリックで拡大表示]
国内6号店となるサードウエーブコーヒー「ブルーボトルコーヒー」が「過ごす」ゾーンにオープン
国内6号店となるサードウエーブコーヒー「ブルーボトルコーヒー」が「過ごす」ゾーンにオープン
[画像のクリックで拡大表示]
クイーンズ伊勢丹内にある「フードステージ」では目の前でプロが料理し、お薦め食材の使い方を提案
クイーンズ伊勢丹内にある「フードステージ」では目の前でプロが料理し、お薦め食材の使い方を提案
[画像のクリックで拡大表示]
生鮮食品売り場の横にコスメや雑貨、書籍のコーナーがある不思議な光景
生鮮食品売り場の横にコスメや雑貨、書籍のコーナーがある不思議な光景
[画像のクリックで拡大表示]
「作る」「嗜む」ゾーンにある「クイーンズ伊勢丹」は広々として洗練された雰囲気
「作る」「嗜む」ゾーンにある「クイーンズ伊勢丹」は広々として洗練された雰囲気
[画像のクリックで拡大表示]

(文/桑原恵美子)