「トリュフ」といえば世界三大珍味のひとつで、高級フランス料理店にでも行かないと味わえないイメージが強い。だがここ最近、手ごろな価格を売りにするトリュフ料理専門店が相次いでオープンしている。

 2017年7月1日、東京・青山の路地裏にオープンしたのは、「トリュフをつかったフレッシュパスタ」1品のみで勝負する「OUT」。「トリュフになじみがない人も気軽に食べられるように」と、券売機で食券を買って注文するラーメン店のようなシステムにしているのが特徴だ。

 その2週間後の7月14日、東京・六本木の東京ミッドタウンにオープンしたのが、パリ発の「アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ」だ。提供するのはすべてトリュフを使った料理で、アラカルトが1800円から、トリュフ尽くしのコースも4900円から、ランチ(トリュフのリゾットかパスタとデザート盛り合わせ)なら1900円から提供するという。

 価格はたしかにカジュアルだが、トリュフの量もそれなりなのでは――。そんな疑問を抱きながら、実際に店に訪れて食べてみた。

2017年7月1日にオープンした「OUT」(渋谷区渋谷2-7-14 Vort青山103)。営業時間は18~26時。月曜定休。席数13。予約不可。店名は英国のロックバンド「レッド・ツェッペリン」のアルバム「In Through The Out Door」に由来
2017年7月1日にオープンした「OUT」(渋谷区渋谷2-7-14 Vort青山103)。営業時間は18~26時。月曜定休。席数13。予約不可。店名は英国のロックバンド「レッド・ツェッペリン」のアルバム「In Through The Out Door」に由来
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OUTの「トリュフをつかったフレッシュパスタと赤ワインのセット」(税込み4000円、パスタ単品だと2900円)。パスタはイタリア産のオーガニック小麦粉、山梨県の農家直送の卵、北海道産のバター、オーストラリア産のオリーブオイルを使用した自家製麺
OUTの「トリュフをつかったフレッシュパスタと赤ワインのセット」(税込み4000円、パスタ単品だと2900円)。パスタはイタリア産のオーガニック小麦粉、山梨県の農家直送の卵、北海道産のバター、オーストラリア産のオリーブオイルを使用した自家製麺
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2017年7月14日にオープンした「アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ」(港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン「ガレリア」内ガーデンテラス1階)。営業時間は平日が11時~15時半、17時半~23時。日曜・祝日は11~23時。席数は店内69(カウンター10)、テラス席46
2017年7月14日にオープンした「アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ」(港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン「ガレリア」内ガーデンテラス1階)。営業時間は平日が11時~15時半、17時半~23時。日曜・祝日は11~23時。席数は店内69(カウンター10)、テラス席46
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アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリの期間限定メニュー「色々茸の温製スープ カプチーノ仕立て」(2400円)。プロヴァンスの最高級トリュフと旬のキノコ数種類を組み合わせたスープ。提供期間は2017年9月15日~11月5日
アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリの期間限定メニュー「色々茸の温製スープ カプチーノ仕立て」(2400円)。プロヴァンスの最高級トリュフと旬のキノコ数種類を組み合わせたスープ。提供期間は2017年9月15日~11月5日
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ラーメン店スタイルで、トリュフパスタ1品で勝負

 OUTがあるのは、青山学院大学近くの路地を少し入ったビルの2階。外観はガラス張りで、外からはカウンターと「OUT」のネオンサインが見え、おしゃれなバーのよう。店内に入ると、黒を基調とした高級感のあるスタイリッシュなインテリア。「マンダリン オリエンタル東京」のメインダイニングなどを手掛けた、建築家兼デザイナーの小坂竜氏が担当したという。

 注文は入り口にある券売機で食券を買うスタイル(「ラーメンバーのスタイルにしたい」と考えたオーナーシェフのセーラ・クレイゴ氏たっての要望だったという)。カウンターに腰かけて食券を渡すと、目の前のキッチンでスタッフが作り始める様子が見える。カウンターに出て来たパスタは非常にシンプルだが、セーラ氏がホールのトリュフを目の前でスライスしてトッピングする。

 同店オープンのきっかけとなったのは、クレイゴ氏の兄とその友人がコテージで開いたプライベートパーティー。手作りのトリュフパスタ、それに合わせた赤ワイン、レッド・ツェッペリンの音楽、それらシンプルな要素が融合した時の高揚感に感動した3人が、それを伝えられる店をつくりたいと考えたという。オーストラリアではなく、日本で店をオープンしたのは「食に対して高感度な東京のほうが、理解してもらいやすい」と考えたためだそうだ。

券売機のメニューはシンプル。「トリュフをつかったフレッシュパスタと赤ワインのセット」(4000円)、「トリュフをつかったフレッシュパスタ単品」(2900円)、「フレッシュパスタの追加」(600円)、「トリュフの追加(3g)」(1500円)、「赤ワイン・ボトル」(6100円)、「赤ワイン・グラス」(1300円)など
券売機のメニューはシンプル。「トリュフをつかったフレッシュパスタと赤ワインのセット」(4000円)、「トリュフをつかったフレッシュパスタ単品」(2900円)、「フレッシュパスタの追加」(600円)、「トリュフの追加(3g)」(1500円)、「赤ワイン・ボトル」(6100円)、「赤ワイン・グラス」(1300円)など
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オーストラリア出身のオーナーシェフ、セーラ・クレイゴ氏が目の前でトリュフをスライスする。ほんの飾り程度と思いきや、パスタ全体が隠れるほどたっぷりの量
オーストラリア出身のオーナーシェフ、セーラ・クレイゴ氏が目の前でトリュフをスライスする。ほんの飾り程度と思いきや、パスタ全体が隠れるほどたっぷりの量
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「ラーメンバーのスタイルでカジュアルに食べられるようにした」というオーナーシェフのセーラ氏
「ラーメンバーのスタイルでカジュアルに食べられるようにした」というオーナーシェフのセーラ氏
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トリュフがのった“お子様プレート”も

 「アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ」があるのは、東京ミッドタウンのショッピングエリア「ガレリア」の一番奥。屋内もテラス席も非常に高級感がある。

リゾート感たっぷりのテラス席は大人気で、オープンとともにテラス席から埋まっていく。前面は道路だが、裏通りに面しているため車の音はまったく聞こえない
リゾート感たっぷりのテラス席は大人気で、オープンとともにテラス席から埋まっていく。前面は道路だが、裏通りに面しているため車の音はまったく聞こえない
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 アラカルトのメニューを見て、本当に全部の料理にトリュフを使っていることに驚いた。なんと「トリュフ マティーニ」「トリュフ ムスー」などのカクテルもあり、デザートまでトリュフ尽くし。1200円の「お子様プレート」まである。

 今回は週末の夜に6500円のコースを試してみた。コース料理の内容は日によって違うが、この日、特に印象に残っているのが最初のアミューズで、トリュフ風味のスクランブルエッグが詰まった「ブイヤード・ア・ラ・トリュフ」。お互いおいしさを引き出し合う卵とトリュフの相性の良さに驚いた。コースではプチサイズだが、アラカルトでは2000円でかなりたっぷりの量が食べられる。初めてこの店に行く人、トリュフをそれほど食べたことがない人に、おすすめしたい。

ディナーコースの始まりにパンとともに運ばれてきたのは、店内でも売られている「サマートリュフ入りゲランドの塩」「エクストラヴァージンオリーブオイル黒トリュフ」。オイルはほんの少量でも「直撃」といいたいくらい強烈なトリュフの香りがした
ディナーコースの始まりにパンとともに運ばれてきたのは、店内でも売られている「サマートリュフ入りゲランドの塩」「エクストラヴァージンオリーブオイル黒トリュフ」。オイルはほんの少量でも「直撃」といいたいくらい強烈なトリュフの香りがした
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トリュフ風味のスクランブルエッグが詰まった「ブイヤード・ア・ラ・トリュフ」はコース料理に必ず入っているという
トリュフ風味のスクランブルエッグが詰まった「ブイヤード・ア・ラ・トリュフ」はコース料理に必ず入っているという
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 その後にトリュフを山盛りにしたガスパチョと続き、一見トリュフと関係なさそうなオードブルの「パテ・アン・クルート(子牛と豚のパイ包み)」「本日の肉料理(鴨のロティ)」にもトリュフがたっぷり添えられていた。最後はトリュフ尽くしのデザート。コーヒーに添えられた小菓子はヘーゼルナッツとトリュフのホワイトチョコ。全て食べ終え、コストパフォーマンスが非常に高いと感じた。

コースの最後は、「トリュフにまみれたボネ」「特製グラス ア ラ トリュフ」など、トリュフ尽くしのデザート盛り合わせ
コースの最後は、「トリュフにまみれたボネ」「特製グラス ア ラ トリュフ」など、トリュフ尽くしのデザート盛り合わせ
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 同店の本店は、パリの観光名所で生活雑貨に特化している百貨店「ベー・アッシュ・ヴェー(BHV)」内にある。カウンターと20席程度のテーブル席があるカジュアルなスタイルだが、2店舗目は東京店と同じレストランスタイル。ドイツにも出店しているほか、ドバイ、韓国にも出店が予定されている。

佐藤茂樹シェフは「オテル・ドゥ・ミクニ」を経て渡仏、帰国後「マンダリンオリエンタル東京」を経て、「アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ」のメインシェフに就任。「これからが旬の白トリュフは香りがはっきりと違う。春夏秋冬で味わいが異なるトリュフをもっと気軽に味わってほしい」(佐藤シェフ)
佐藤茂樹シェフは「オテル・ドゥ・ミクニ」を経て渡仏、帰国後「マンダリンオリエンタル東京」を経て、「アルティザン ドゥ ラ トリュフ パリ」のメインシェフに就任。「これからが旬の白トリュフは香りがはっきりと違う。春夏秋冬で味わいが異なるトリュフをもっと気軽に味わってほしい」(佐藤シェフ)
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物販コーナーのトリュフ製品の豊富さがすごい
物販コーナーのトリュフ製品の豊富さがすごい
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(文/桑原恵美子)