高級フレンチレストランなどを国内外に展開するひらまつがホテル事業に本格参入。直営1号店となる「ザ・ひらまつ ホテルズ アンド リゾーツ 賢島」が7月15日、伊勢志摩サミットの舞台となった三重県志摩市に開業した。
近鉄賢島駅から送迎バスで約9分。伊勢志摩を代表する英虞(あご)湾を一望できる絶好のロケーションに同社初のホテルが建つ。民間企業の保養所だった建物をリノベーションしたというホテルは、斬新な外観が印象的。古い建物を大きな金網ですっぽり包んでしまったようなデザインになっている。設計デザインを手がけたのは、国内外で活躍するデザイナー・森田恭通氏。斬新ながらもナチュラル感のあるインテリアで居心地の良い空間に仕上がっている。
レストラン業35年の歴史がある同社は、20年ほど前からホテル事業を構想。3年前にようやく現在地と出会い、平松博利会長自ら訪れて出店を決断した。「三重という土地は、都会の喧騒(けんそう)から離れていて自然が豊か、食材の宝庫でもある。レストラン業でこれまで培ってきたクオリティの高い料理で地元の食材を生かし、最高のおもてなしをしていきたい」と、同社の陣内孝也社長はホテル進出の狙いを語る。
コンセプトは「滞在するレストラン」。食を目当てに訪れるホテルと位置づけ、癒やしの空間とサービスを提供することで、従来型のホテルと一線を画す。「フランスにはオーベルジュという、宿泊設備を備えた三ツ星レストランもある。いわゆる西洋旅館。日本における西洋旅館をめざす」(陣内社長)という。
同社は、2015年9月、奈良県桜井市に開店した「オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」の指定管理者に選ばれて同店を運営。レストランのおもてなしの精神をホテルに生かし、独自でノウハウを蓄積してきた。今後は賢島を皮切りに、2016年10月27日に熱海、同年12月末に箱根に出店。さらに2017年夏には沖縄にも新規開業する。いずれもリゾート立地のスモールラグジュアリーホテルで、海外にも発信していきたい考えだ。