サンシャインシティは7月12日、「サンシャイン水族館」でリニューアル工事が行われていた屋上エリアの一部をオープンする。新エリアでは世界初の展示方法となる「天空ペンギン」と「草原ペンギン」が登場する。

 サンシャイン水族館といえば、2011年のリニューアルで頭上をアシカが泳ぐ「サンシャインアクアリング」など、“天空のオアシス”というコンセプトで今までの水族館にない展示方法を取り入れたことで話題となった。それを発展させ、既存の展示方法からの脱却をさらに打ち出したのが今回の「天空ペンギン」「草原ペンギン」の登場だ。同社によると「天空のオアシス第2章の完成」と位置付けており「都会の水族館では他にない空・光・水・緑に満ちた自然環境を実現した空間」と説明している。

改装が行われた「サンシャイン水族館」屋上エリアの一部が7月12日にオープン
改装が行われた「サンシャイン水族館」屋上エリアの一部が7月12日にオープン
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頭上をアシカが泳ぐ「サンシャインアクアリング」はサンシャイン水族館の名物
頭上をアシカが泳ぐ「サンシャインアクアリング」はサンシャイン水族館の名物
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ペンギンが都会の空を飛ぶ「天空ペンギン」

 水族館でペンギンの展示と言えば、氷山を模したような岩場や池にペンギンが並び、それを柵の外側から見るというのが一般的だった。しかし「天空ペンギン」は全く別の角度からケープペンギンを見ることができる。屋上の端に向こう側が見渡せる幅12mの水槽の壁を作り、その水槽をそのまま屋根として張り出させた。これにより、ビルの屋上から見える風景とペンギンが泳ぐ姿が重なって、ペンギンが空を飛んでいるように見える。さらに見上げると、屋根の部分でもペンギンが泳いでいるため、まるで空飛ぶ鳥のようなペンギンを仰ぎ見ることができるのだ。

あたかもペンギンが都会の空を飛んでいるように見える「天空ペンギン」
あたかもペンギンが都会の空を飛んでいるように見える「天空ペンギン」
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ビルの屋上から見える風景とペンギンが泳ぐ姿が重なって見える
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屋根の部分でもペンギンが泳いでいる
屋根の部分でもペンギンが泳いでいる
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 サンシャイン水族館の丸山克志館長は「2011年のリニューアル時にも屋外の開放感を生かした展示を作りましたが、まだやりたいことがありました。屋上なので熱いですが、太陽の光を浴びながら緑の中で自然を感じてほしい。都会の空をバックに飛ぶように泳ぐ展示は他にないですから」と語った。

サンシャイン水族館の丸山克志館長
サンシャイン水族館の丸山克志館長
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 また、2011年に引き続き、今回のリニューアルの展示プロデュースを担当した中村元氏は「サンシャイン水族館は屋上があることが特徴。なにより“サンシャイン”だから、空につなげたかった。今回のリニューアルでサンシャイン水族館自体が空につながったと思います。奥行き感が空と海は近いと思っていて、そして都会の空っていうのが面白いです。ペンギンのうち2、3羽は空に向かって飛ぼうとするのもいますから、探してみてください(笑)」

水族館プロデューサー 中村 元氏
水族館プロデューサー 中村 元氏
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 実際に見ていると、マンションを背景にペンギンが泳いでいるのはとても不思議な光景だ。さらに、水槽のガラス越しではあるものの、毛並みが分かるほど間近にペンギンの泳ぐ姿が見られるのも面白い。見上げると、太陽と青空の中をペンギンが羽根を広げて泳いでおり、本当に飛んでいるかのような錯覚を受ける。

草原と岩山にも「ペンギン」

 既成概念からの脱却という点で「草原ペンギン」も面白い展示となっている。これは南アフリカのケープタウンに生息する野生のペンギンの姿を再現したもので、氷山のような冷たいイメージではなく、幅約10m、面積約85平方メートルの草原と岩山を模した展示ブースとなっている。滝が流れ落ちる高低差のある岩山をペタペタと歩くペンギンを草むら越しに見るのは新鮮な光景だ。なお、ペンギンの排泄物は植物を枯らしてしまうため、草地だけにしてしまうとこのような展示はできなかったが、ペンギンの通り道と草地を分け、植物を交換できる仕組みを整えたことにより実現したという。

 この展示に関して、丸山館長は「南アフリカのケープタウンは温暖なため、ここにいるケープペンギンは、日本人がイメージする冷たい世界にいるペンギンではありません。そんなペンギンたちの本来の日常の姿を再現するべく本ブースに取り組みました」とのこと。また、中村氏は「日本では温帯のペンギンを南極のペンギンのように見せてしまうことが多い。実は暖かいところに生息するペンギンのほうが多いくらいです。それをみなさんに分かってほしかった」と語る。

南アフリカのケープタウンに生息する野生のペンギンの姿を再現した「草原ペンギン」
南アフリカのケープタウンに生息する野生のペンギンの姿を再現した「草原ペンギン」
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氷山のような冷たいイメージではなく、幅約10m、面積約85平方メートルの草原と岩山を模した展示ブースとなっている
氷山のような冷たいイメージではなく、幅約10m、面積約85平方メートルの草原と岩山を模した展示ブースとなっている
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草むら越しにペンギンが見られるユニークな展示となっている
草むら越しにペンギンが見られるユニークな展示となっている
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大人向けのライトアップを工夫

 サンシャイン水族館は“大人のデートコース”としても定番の場所だ。普通の水族館とは異なり、営業時間は4~10月の夏期で10~20時、7月12日~9月27日はさらに1時間延長して21時閉園となっている。そのため会社帰りや休日の夜のデートなどでも行きやすい。

 今回の展示でも夜のライティングに力を入れており、昼とは違った雰囲気が楽しめるという。中村氏も特に夜のライティングの雰囲気作りには苦労した部分とのことで、「水と草原とライティングのコラボがロマンチックなのでデートにお薦め」と語る。また丸山氏も「水面のキラキラを生かしたライティングと、植物の色を活かしたライティング。夜は昼とは違った魅力があります」とアピールしていた。このように従来の水族館では考慮されなかった「夜間のライティング」という点でも子供だけではなく大人向けを意識した取り組みが見られる。

従来の水族館では考慮されなかった「夜間のライティング」という点でも子供だけではなく大人向けを意識した取り組みが見られる
従来の水族館では考慮されなかった「夜間のライティング」という点でも子供だけではなく大人向けを意識した取り組みが見られる
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新世紀の水族館を作っていく

 他にも新エリアには、ペリカンを真下から見られる水道型の展示や、アロワナが飛び跳ねて餌を採る様子を間近で見られる水槽、カワウソが暮らすブースなどがあり、さまざまな水生の動物を見ることができる。ペンギンもさることながら、どの動物も間近で見ることができ、普通の水族館よりも動物との距離が近いと感じた。

ペリカンを真下から見られる水道型の展示
ペリカンを真下から見られる水道型の展示
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アロワナが飛び跳ねて餌を採る様子を間近で見られる水槽
アロワナが飛び跳ねて餌を採る様子を間近で見られる水槽
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カワウソが暮らすブース
カワウソが暮らすブース
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 サンシャインというビルの屋上ならではの苦労もあるようで、丸山氏は「使える水量が決まっているなか、広さを保ちつつ都会の空をどう生かすかが課題でした」と語る。また中村氏は「屋上は建築法の関係で屋根を作ることができないので、雨にどうしても弱くなります。それを克服するために、ペリカンの水道など展示物自体を雨よけにして、その下を移動できるように工夫しました」とのこと。

 さらに中村氏は「ペンギンが脱走したり、カワウソが草を食べまくったりとブースの管理は大変(笑)。特に草を入れるのはメンテナンスの負荷がかかるのですが、サンシャイン水族館のスタッフは『毎日でも草を入れ替えます!』と高い志を持っています。最初に『大人向けにしましょう』といったときはずいぶん驚かれましたが、みなさんに協力していただけました。その結果、海外にも注目される新しい世代の水族館を作ることができました。サンシャイン水族館は水族館のアイコンになっていくと思います」と語っていた。

レストランで提供される「天空のペンギンカクテル」(540円)。ノンアルコールだが、甘くないミント系のドライな味付けとなっており、大人向けのメニューといえる
レストランで提供される「天空のペンギンカクテル」(540円)。ノンアルコールだが、甘くないミント系のドライな味付けとなっており、大人向けのメニューといえる
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「カワウソハヤシライス」(800円)。Instagramで撮影すると映えるこのようなメニューは子供はもちろん大人の女性にも人気だ
「カワウソハヤシライス」(800円)。Instagramで撮影すると映えるこのようなメニューは子供はもちろん大人の女性にも人気だ
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(文・写真/シバタススム)