創業300年以上の酒蔵を120軒以上回った!?

 同店を企画した源平酒造(福井県大野市)の萩原敦士社長は、飲食店や大手通信会社の営業マン出身。食品業界への転身を考え、勉強のためにさまざまな職を経験したが、そのひとつが長野県での農業体験。そこで農業の基礎を学ぶかたわら、「作り手にしっかり利益を生む仕組み」の重要性も学んだという。

 次に萩原氏が目を向けたのが、地方の酒造。酒造の利益を守りつつその価値を伝えようとする地酒専門店などしっかりした販売パートナーもいる一方、キャッシュフローが悪く、販売側から買いたたかれている状況にある酒造も少なくなかった。萩原社長はそんな状況を改善できないかと考え、創業1673年という老舗ながら、経営悪化で破産手続きをしていた源平酒造の債務を全て引き受け、2012年に取得した。

 悠久乃蔵出店のヒントを得たのは、香港を訪れた2013年12月。源平酒造の日本酒を提供するレセプションパーティーで海外のVIPに、同酒蔵が創業300年以上であること、日本にはそうした歴史ある酒蔵が珍しくないことを伝えると非常に驚かれ、「創業300年以上というくくりでブランドを作ることができたら、世界的にも非常に価値がある」とアドバイスをもらったという。

 そこで萩原氏は2年以上かけて日本中の創業300年以上の蔵元を120カ所以上調べて悠久乃蔵の構想を説明し、参加する蔵元を募った。オープン前に9つの蔵元から賛同を得、同店の営業を開始することができたという。

 実は7月1日のグランドオープンを前に、4月21日からプレオープンという形でマーケティングを繰り返していた。銀座の中心エリアという場所柄、外国人客も多かったが、「『ウマミ』という言葉は知っていても、『麹』という言葉を知っている外国人はほとんどいなかった。『アミノ』と言うと、やっとうっすら理解してくれる。日本酒はおいしいだけでなく、麹に非常に良質なアミノ酸が豊富に含まれていること、栄養満点で健康効果が高いことを、もっと世界中に発信しなければと痛感した」(萩原氏)。

 昼を麹ドリンクのカフェ業態にしたのも、作り手である酒蔵に利益を生み出す仕組みを作るため。酒が飲めない人、麹の魅力を知らない人にも気軽に利用してもらえるように、麹入りのかき氷なども販売している。またアジアへの展開も視野に入れ、ココナッツオイルやグリーンカレーなどのフレーバーをしゃぶしゃぶに取り入れている。

 プレオープン中の外国人旅行客のリクエストにより、新たなサービスも加えた。「東京湾で釣りを楽しんだが、食べ方が分からない」という人のために、釣った魚を料理して提供するサービスを開始。「近くにある銭湯・銀座湯で汗を流してもらっている間に調理する。風呂上がりに、日本酒と一緒に楽しんでもらえれば」(萩原氏)という。

カフェタイムには麹を使った「糀かき氷」(1000円~)も提供
カフェタイムには麹を使った「糀かき氷」(1000円~)も提供
[画像のクリックで拡大表示]
プラス500円で酒粕・麹・ココナッツバージンオイル・薬膳・イタリアントマト・グリーンカレーなどのトッピングが追加可能。写真はココナッツバージンオイルを入れたものだが、日本酒のかすかな苦味が消えてまろやかになり、食べやすくなった
プラス500円で酒粕・麹・ココナッツバージンオイル・薬膳・イタリアントマト・グリーンカレーなどのトッピングが追加可能。写真はココナッツバージンオイルを入れたものだが、日本酒のかすかな苦味が消えてまろやかになり、食べやすくなった
[画像のクリックで拡大表示]
「麹の健康効果を、世界に広めたい。これからは、麹が世界を変える時代が来る」と語る源平酒造の萩原敦士社長
「麹の健康効果を、世界に広めたい。これからは、麹が世界を変える時代が来る」と語る源平酒造の萩原敦士社長
[画像のクリックで拡大表示]

(文/桑原恵美子)