日本の和菓子にインスパイアされて誕生した!?

 そもそもソルビンは、どのようにして生まれたのか。韓国では、古くから餅(米)、きな粉、餡子(小豆)、胡麻、芋を用いた伝統菓子が親しまれてきた。日本でもよく目にする韓国スイーツ「パッピンス」も、本来は「パッ」(小豆)と「ピンス」(かき氷)が組み合わされたもの。ただ韓国の若年層には洋風スイーツが人気で、パッピンスのような伝統菓子は「古くさい」と全く支持されていなかったという。

 ソルビン創業者のチョン・ソンヒ氏は10数年前、飲食ビジネスを学びに東京に留学。そのとき、日本の伝統的な和菓子が時代とともに進化し続けていて、老若男女に親しまれている様子を見て驚いたという。「韓国の伝統菓子も若い層に親しまれるものに進化させたい」と、その方法を模索。伝統菓子のパッピンスをヒントにサラサラした新しい食感のかき氷を開発し、華やかなトッピングを施したものを完成させた。粉雪のようにサラサラの食感から「雪氷(ソルビン)」と名付けたという。

 内覧会で提供されたのは、韓国で1番人気の「きな粉餅ソルビン」。かき氷といえば涼しげなガラス製の器が普通だが、お茶漬け丼を思わせる厚手の黒っぽい器に、山のようにかき氷が盛り付けられている。全体にたっぷりきなこがかけられていて、運ばれた瞬間からむせている人も。

 ひとくち食べて、驚いた。これまで人気のかき氷をいくつも取材してきたが(関連記事「この夏は“進化系かき氷”ラッシュ! 泡、味チェンジ、ドロドロ系…」)、そのどれとも違うのだ。

 まず、かき氷なのに、シロップが全くかかっていない。しかも氷がきなこと区別がつかないくらいサラサラ。台湾発のかき氷店「マンゴーチャチャ」「アイスモンスター」(関連記事「“日本初上陸”仕掛け人が明かす、表参道に行列店が集まるワケ」)のように、ジェラート系の濃厚でねっとりした食感とも全く違う。

 さらに驚いたのは、“氷が乾いている”こと。薄い板状になっている日本のかき氷と違い、乾いた粉状なのだ。シロップもかかっていないので、食べているとどんどん口の中の水分が奪われる。焼き菓子を食べて同じ経験はあるが、かき氷を食べて口の中が乾くのは初体験。「最初のひと口はむせないように注意」と言われたが、周りを見ると、最後までむせっぱなしの人もいたほど。水が2杯ついてきている理由が分かった。

 「シロップなしでは味がないのでは」と思うかもしれないが、サラサラの氷そのものに濃厚なミルクのコクと甘みがあるので、氷だけでもおいしく食べられる。しかもきなこと同じ質感なので、サラサラ同士でよく混じりあい、香ばしさもプラスされる。さらにローストアーモンドのパリパリの食感、さくらんぼ大の粉のモチモチ感があり、むしろシロップ入りの普通のかき氷より味わいは複雑。通常のかき氷は途中で味に飽きることが多いが、これは最後まで食べ飽きることがなかった。

「きな粉餅ソルビン」には下の氷が見えないほどのきなこがかかっている
「きな粉餅ソルビン」には下の氷が見えないほどのきなこがかかっている
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きなこと同じくらいのサラサラ感で、スプーンを入れると砂のように混じり合う。目をつぶって食べていると、冷たいきなこを食べているよう
きなこと同じくらいのサラサラ感で、スプーンを入れると砂のように混じり合う。目をつぶって食べていると、冷たいきなこを食べているよう
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サクランボ大の餅が多く入っていて、かき氷なのにかなりの満腹感がある
サクランボ大の餅が多く入っていて、かき氷なのにかなりの満腹感がある
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テイクアウトの「きな粉餅ソルビン-go(きなこもちソルビンゴ)」(税込み700円)。コーンフレーク入りの容器が持ち手になっていて、持ち歩きながら食べることもでき、ふたがコースターになっていて自立させて食べることも可能
テイクアウトの「きな粉餅ソルビン-go(きなこもちソルビンゴ)」(税込み700円)。コーンフレーク入りの容器が持ち手になっていて、持ち歩きながら食べることもでき、ふたがコースターになっていて自立させて食べることも可能
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