480円メニューがずらり

 店舗があるのは、JR高田馬場駅の早稲田口から徒歩数分。映画館「早稲田松竹」と道路を挟んでちょうど向かい側だ。中国本土での店舗数の多さから、かなり大きな店を想像していたのだが、実際に行ってみると間口一間ほどの小規模な構えだった。

オープン後は常に行列ができている状態。同店によると、オープンから5日間の1日の平均来客数は300人を超えたという
オープン後は常に行列ができている状態。同店によると、オープンから5日間の1日の平均来客数は300人を超えたという
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1階にカウンターが10席、2階に14席あるが、常に満席状態
1階にカウンターが10席、2階に14席あるが、常に満席状態
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 店構えもミニマムなら、メニューも超シンプル。メインメニューは中国風のあえそば「拌麺(バンメン)」「ワンタン」「蒸し餃子」「蒸しスープ」で、価格はすべて480円均一。看板メニューだという蒸し餃子とワンタンを食べたが、どちらも値段の割にかなりボリュームがある。味も本格的で割安感があるので、日本で多店舗展開して牛丼チェーンやファストフードとも対抗できるかもしれない。

看板メニューの「ワンタン」(税込み480円、以下価格表記はすべて税込み)。卓上の調味料で好みに味を付けて食べられるよう、あえて淡白な味に仕上げているという。汁ワンタンのほかに揚げワンタンもある
看板メニューの「ワンタン」(税込み480円、以下価格表記はすべて税込み)。卓上の調味料で好みに味を付けて食べられるよう、あえて淡白な味に仕上げているという。汁ワンタンのほかに揚げワンタンもある
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「蒸し餃子」(480円)はクセがそれほど強くなく、日本人にも食べやすい味。蒸したては皮がやわらかいが、少し時間がたつとどんどん固く変化するので早めに食べたほうがいい
「蒸し餃子」(480円)はクセがそれほど強くなく、日本人にも食べやすい味。蒸したては皮がやわらかいが、少し時間がたつとどんどん固く変化するので早めに食べたほうがいい
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 だが、万人に好まれそうな味である一方、この店でしか味わえないというようなインパクトは特に感じない。なぜこの店が中国でこれほどまでに多店舗展開しているのだろうか。

中国全土に6万店以上あるが、チェーンではない

 同店を運営する「キング・テック」(東京都文京区)の王遠耀社長は「沙県小吃はそもそもチェーン店ではない」と話す。

 王社長によると、沙県小吃というブランドが生まれたのは福建省の沙県という地方。「小吃」と呼ばれる軽食が名物で、沙県出身者が「沙県小吃」の屋号で中国各地に軽食店を展開するようになったのがブランドの発祥だという。

 だが、「組合に登録すれば誰でも開店できるシステムを取っているため、6万3000店以上ある店舗のほとんどが個人商店。乱立状態が続くなかで、中国政府が出資した運営企業『沙県小吃集団』に出店の公認を得て、日本1号店を開店した。今後は日本での店舗を増やしていきたい」(王社長)。

「拌麺( バンメン)」(480円)
「拌麺( バンメン)」(480円)
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「蒸しスープ」(480円)は4種類から選べる
「蒸しスープ」(480円)は4種類から選べる
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 取材をしたのはオープンの2日前だったが、取材中に何人もの人が看板を見ては興奮した様子で店に入ってきて、王社長に話しかけていたのが印象的だった。いかに中国での認知度が高いかということだろう。オープン後は中国人が殺到したが、日本人客も日ごとに増えているという。「日本人は2割程度ではないか」(王社長)