「日本にも店舗がある」ことが海外展開では重要

 浦田氏によると、2012年の1号店オープン当時はトロントにはまだ日本風の本格ラーメン店がなく、ラーメンになじみがない人が多かった。そこで、まずは自分好みの味で日本風ラーメンを知ってもらいたいと考え、スープや麺が指定できるカスタマイズ方式にしたという。「もともと欧米では外食も自分好みにカスタマイズしたがる人が多い。さらに多民族国家で豚肉を食べない宗派の人もいるので、この方式が受けたのではないか」と浦田氏は分析する。

 スピーディーに多店舗展開ができたのは、2店目から1カ所で集中調理を行うセントラルキッチン方式を採用したため。「(セントラルキッチン方式は)まだ早いという声もあったが、店舗展開をスピードアップさせて人材を確保することが、さらに多くの人に日本式ラーメンを知ってもらえる近道になると思った」(浦田氏)。

 今回、日本で店舗をオープンした理由として、浦田氏は「本国カナダでのブランド認知向上のため」と説明する。さらに、日本人スタッフの育成という目的もある。「カナダ店でのスタッフは8割が現地採用。海外に興味がある日本人の若いスタッフを育てて、カナダに来てもらいたい」(浦田氏)という。

 近年、日本食ブームは「スシ」から「ラーメン」に移行しつつある。実際に、「博多一風堂」「山頭火」などの有名チェーンのラーメン店が続々と海外進出し、現地でも人気を集めている。金とんらーめんも「日本にも店舗がある」ということが今後の展開で重要なのだろう。

金とんらーめん 三軒茶屋総料理長の浦田信明氏。大学在学中に阪神・淡路大震災で被災した際、ライフラインが途切れた被災地で屋台の長浜ラーメンを提供する手伝いをしたことからこの道に入った。「海外に興味を持つ若い人に、夢を実現させるきっかけ作りをしたい」と語る
金とんらーめん 三軒茶屋総料理長の浦田信明氏。大学在学中に阪神・淡路大震災で被災した際、ライフラインが途切れた被災地で屋台の長浜ラーメンを提供する手伝いをしたことからこの道に入った。「海外に興味を持つ若い人に、夢を実現させるきっかけ作りをしたい」と語る
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最後の一滴までスープを飲みきった人には、その数に応じて賞品が贈呈される「KINTON BOWLER」というシステムも人気。写真はどんぶりを見せて飲みきったことをスタッフに証明するカナダの金とんらーめんの来店者たち
最後の一滴までスープを飲みきった人には、その数に応じて賞品が贈呈される「KINTON BOWLER」というシステムも人気。写真はどんぶりを見せて飲みきったことをスタッフに証明するカナダの金とんらーめんの来店者たち
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(文/桑原恵美子)