カナダ最大の都市トロントに本店を構える人気ラーメン店「金とんらーめん(キントンラーメン)」の日本1号店が、2018年5月18日に東京・三軒茶屋にオープンした。トロントには日本風のラーメン店が多いが、そのなかで最も勢いがあるのがこの金とんらーめんといわれている。近日オープン予定を含めてカナダに12店舗(うち10店舗がトロント、2店がモントリオール)、韓国で2店舗を展開している。

2018年5月18日にオープンした「金とんらーめん 三軒茶屋」(世田谷区三軒茶屋2-15-6 プラスキューブ三軒茶屋B棟1階)。三軒茶屋駅から徒歩4分。営業時間は月~木が11時半~23時、金曜・土曜が11時半~26時、日曜・祝日が11時半~22時。スープが無くなり次第終了
2018年5月18日にオープンした「金とんらーめん 三軒茶屋」(世田谷区三軒茶屋2-15-6 プラスキューブ三軒茶屋B棟1階)。三軒茶屋駅から徒歩4分。営業時間は月~木が11時半~23時、金曜・土曜が11時半~26時、日曜・祝日が11時半~22時。スープが無くなり次第終了
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席数は22。トロントで展開している店舗は40~80席が中心なので、同ブランドの店舗では最も店舗面積が小さいという
席数は22。トロントで展開している店舗は40~80席が中心なので、同ブランドの店舗では最も店舗面積が小さいという
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 金とんらーめん 三軒茶屋総料理長の浦田信明氏によると、最も繁盛しているのはモントリオールの店舗で、来店者数は平均で1日あたり500~700人ほどだという。特徴は、自分でスープと味付け、麺、トッピングを選んで好みのラーメンを完成させる「カスタマイズ方式」であること。カナダでこれほど人気を集める金とんらーめんとは、いったいどんなラーメンなのだろうか。

人気メニューはニンニクとチャーシューのパンチ力が絶大

 店舗は三軒茶屋駅近くの路地裏にあり、土地勘のない人は少々分かりづらいかもしれない。訪れたのはオープンしてわずか1週間後だったが、ランチタイムを過ぎても店内は大勢の客がいて、早くも繁盛の様相だ。

 注文の際は、まず基本となるスープを「豚骨」「鶏白湯」の2種類から選ぶ。次に味付けを4種類(味噌、塩、醤油、スパイシー)から選ぶ。麺は「太麺」「細麺」の2種類から選び、最後にトッピングを選ぶ。カナダで一番人気がある組み合わせを聞いたところ、「豚骨のスパイシーガーリック」というので、それを選択。トッピングには豚チャーシューを選んだ。

最初にスープと味付けと具、次に麺、最後に追加のトッピングを選ぶ。豚骨スープでスパイシー味を選ぶと刻みニンニクが、鶏白湯スープでは青唐辛子がトッピングされる。どちらのスープでも醤油、味噌、塩は税込み850円(以下、価格は全て税込み)、スパイシー味は950円
最初にスープと味付けと具、次に麺、最後に追加のトッピングを選ぶ。豚骨スープでスパイシー味を選ぶと刻みニンニクが、鶏白湯スープでは青唐辛子がトッピングされる。どちらのスープでも醤油、味噌、塩は税込み850円(以下、価格は全て税込み)、スパイシー味は950円
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 運ばれてきたラーメンを見て、どんぶりからはみだすほどの巨大な2枚のチャーシュー、どろっとした真っ赤なスープ、そして中央に盛られたピンポン玉大の刻みニンニクに驚く。豚骨や鶏ガラ、魚介、野菜などを煮詰めて抽出し、味噌や唐辛子、豆板醤、シラチャーソースなど、合計24種類もの調味料で味付けしたというスープは、非常に濃厚でパンチの効いた味だ。

筆者は「豚骨スープ・スパイシーガーリック味」(950円)に「豚チャーシュー」(150円)をトッピングしたので、合計1100円。チャーシューはどんぶりからはみだす大きさで厚みもあり、食べても食べてもなくならなかった。濃いめの味付けが好まれるカナダよりも塩気を若干抑えているという
筆者は「豚骨スープ・スパイシーガーリック味」(950円)に「豚チャーシュー」(150円)をトッピングしたので、合計1100円。チャーシューはどんぶりからはみだす大きさで厚みもあり、食べても食べてもなくならなかった。濃いめの味付けが好まれるカナダよりも塩気を若干抑えているという
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 食べ進むにしたがって大量のニンニクが溶けだし、かなりのパンチ力がある。そこに追い打ちをかけるのがチャーシューだ。カナダ産の豚肉をスープで煮込み、岩塩と醤油を混ぜ合わせたソースに漬けこんだ後、盛り付け直前にバーナーで炙って仕上げている。これだけで一品料理として通用しそうなほどのボリュームだ。

 豚骨スープ・スパイシーガーリック味は「カナダのお客さんからも『辛すぎる』と言われる」(浦田氏)そうだが、それでも一番人気なのだという。ニンニクのパンチの強さと濃厚さ、肉のボリュームに、食べ終わってぐったりしたが、こうした刺激と濃厚さ、ボリュームを求めるラーメン好きは多いだろう。

鶏白湯味を選んだ場合、「鶏チャーシュー」が付く。鶏チャーシューは岩塩で下味を付けた後に弱火で加熱し、バターナイフでカットできるほどの軟らかさに仕上げているのが特徴
鶏白湯味を選んだ場合、「鶏チャーシュー」が付く。鶏チャーシューは岩塩で下味を付けた後に弱火で加熱し、バターナイフでカットできるほどの軟らかさに仕上げているのが特徴
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カスタマイズ方式が売りだが、日本人向けにあらかじめスープや麺の種類、トッピングが決まったメニューも用意している
カスタマイズ方式が売りだが、日本人向けにあらかじめスープや麺の種類、トッピングが決まったメニューも用意している
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「日本にも店舗がある」ことが海外展開では重要

 浦田氏によると、2012年の1号店オープン当時はトロントにはまだ日本風の本格ラーメン店がなく、ラーメンになじみがない人が多かった。そこで、まずは自分好みの味で日本風ラーメンを知ってもらいたいと考え、スープや麺が指定できるカスタマイズ方式にしたという。「もともと欧米では外食も自分好みにカスタマイズしたがる人が多い。さらに多民族国家で豚肉を食べない宗派の人もいるので、この方式が受けたのではないか」と浦田氏は分析する。

 スピーディーに多店舗展開ができたのは、2店目から1カ所で集中調理を行うセントラルキッチン方式を採用したため。「(セントラルキッチン方式は)まだ早いという声もあったが、店舗展開をスピードアップさせて人材を確保することが、さらに多くの人に日本式ラーメンを知ってもらえる近道になると思った」(浦田氏)。

 今回、日本で店舗をオープンした理由として、浦田氏は「本国カナダでのブランド認知向上のため」と説明する。さらに、日本人スタッフの育成という目的もある。「カナダ店でのスタッフは8割が現地採用。海外に興味がある日本人の若いスタッフを育てて、カナダに来てもらいたい」(浦田氏)という。

 近年、日本食ブームは「スシ」から「ラーメン」に移行しつつある。実際に、「博多一風堂」「山頭火」などの有名チェーンのラーメン店が続々と海外進出し、現地でも人気を集めている。金とんらーめんも「日本にも店舗がある」ということが今後の展開で重要なのだろう。

金とんらーめん 三軒茶屋総料理長の浦田信明氏。大学在学中に阪神・淡路大震災で被災した際、ライフラインが途切れた被災地で屋台の長浜ラーメンを提供する手伝いをしたことからこの道に入った。「海外に興味を持つ若い人に、夢を実現させるきっかけ作りをしたい」と語る
金とんらーめん 三軒茶屋総料理長の浦田信明氏。大学在学中に阪神・淡路大震災で被災した際、ライフラインが途切れた被災地で屋台の長浜ラーメンを提供する手伝いをしたことからこの道に入った。「海外に興味を持つ若い人に、夢を実現させるきっかけ作りをしたい」と語る
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最後の一滴までスープを飲みきった人には、その数に応じて賞品が贈呈される「KINTON BOWLER」というシステムも人気。写真はどんぶりを見せて飲みきったことをスタッフに証明するカナダの金とんらーめんの来店者たち
最後の一滴までスープを飲みきった人には、その数に応じて賞品が贈呈される「KINTON BOWLER」というシステムも人気。写真はどんぶりを見せて飲みきったことをスタッフに証明するカナダの金とんらーめんの来店者たち
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(文/桑原恵美子)

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