ターゲットはわずか半径2キロの住民!?
立地は京阪電車を枚方市駅で降りてすぐ。古びた建物が目立つなかで、ガラス張りのキューブを重ねたようなモダンなデザインが異彩を放つ。
館内の空間設計も、家にいるような居心地の良さを重視したという。吹き抜けを多用し、自然光をたっぷり取り入れた開放感ある空間が印象的だ。関西唯一のT-SITEであり、駅前立地にあることから、広域商圏を狙えるはず。事実、あるテナントは「東は中書島駅(京都市伏見区)、西は守口市あたりまで集客できるのでは」と期待を寄せる。
ところが、商圏は半径わずか2キロに設定。圏内のTカード会員化率は65.7%で、開業を機にさらに会員を増やすことで、圏内住民を確実に取り込む考え。「ゴールは毎日来たくなる百貨店」(増田社長)だという。
出店テナントも2キロ圏内の住民が普段使いできる生活提案型のショップを導入。地下1階~1階はフードマーケットと食マルシェ、2階はエンターテインメント、3階はブック&カフェ、4階は暮らしと美容、5階は子供と学び、6・7階は銀行、8階はレストランでフロア構成した。
5階と吹き抜けでつながった4階フロアの中央には、暮らしの道具や日本の工芸品、リラックス、健康、美容といったテーマ別に雑貨売り場を展開。マルシェ(市場)のようにカラフルな店舗が常時約20店並ぶ。ほかには、68年続く老舗の化粧品店「向井化粧品店」や、近鉄百貨店時代から店を構える婦人服のセレクトショップ「カエルム」、梅田蔦屋書店にもある「シーユー」とコラボした「ヘアサロンエスクール」が出店。いずれも地元の顧客に支持されている専門店が名を連ねている。
5階は子育てママと子供のためのフロア。無料で遊べる室内遊具やベビー専用の遊び場が充実しているほか、絵本・児童書は約2万冊をラインアップ。国内外の注目ブランドをそろえる子供服のセレクトショップ「音」や、遊び場とベビーギフトショップを展開する「ボーネルンド」、写真スタジオや英会話教室なども出店している。遊び場や本棚のすぐ横に、おしゃれな子供服が並んでいたり、子供が転んでも大丈夫なように人工芝生が敷いてあったり、体験イベントも月50回開催する。モノを売る店というよりも、親子で遊べるコミュニティスペースといった雰囲気だ。