コンビニサイズの東急ストアもすごかった

  GFの奥にあって目立たないが、同施設にはミニスーパー「東急ストアフードステーション」もある。東急ストアとしては東急文化会館の地下にあった店舗が閉店して以来、14年ぶりの渋谷復活だ。

  広さは195平米と、少し大きめのコンビニ程度。だが「生鮮品は地域の住民が夕食の調理ができる程度にそろえていて、抜けがないようにしている」(東急ストアの山田亮課長)。地域住民向けには生鮮食品を、オフィスワーカー向けにはデリを充実させているほか、街歩きを楽しむ人向けにはワンハンドフードや、から揚げやポテトなどカップに入って持ち歩きできるカップデリなど、渋谷の街を意識したラインアップを展開している。

  敷地内の導線としては、青山方面とつながる貫通通路に加えたほか、商業施設「cocoti(ココチ)」との接続通路を設け、回遊性向上を図っているのもポイント。建物で注目したのは、青山方面とつながる貫通通路の3本の柱に溶け込むように設置された、インスタレーション(場所や空間全体を作品として体験させる芸術表現)「AXYZ(アクシズ)」。映像と音が建築と一体となっていて、時刻、天気、太陽電力の発電量などで、その場のリアルタイム情報を取りこみながら変化していくとのこと。ディスプレーには常設の設備としては日本初となる全天候型3.9mmピッチ仕様のものを採用し、それぞれのディスプレーが一体となる映像演出を実現しているそうで、変化に富んだ映像は見ていて飽きなかった。

  広場を使った体験型アート展示もユニーク。5月7日までは3人の新進作家の作品が展示されているが、特に面白いと思ったのが、“かぶりものアーティスト”ニシハラ★ノリオ氏の作品。実際に手に取って頭にかぶることができるので、SNS映えしそう。「クリエーターと街の接点にしたい」という希望通り、アートに特に関心がない人でも、それなりに楽しめる工夫がされていると感じた。

  もともとこの通りは渋谷と原宿を結ぶ裏動線だったが、2006年に表参道ヒルズが開業したことにより渋谷から表参道にショートカットできる道にもなり、さらにブランド力のあるストリートになっている。「明治通りのこのエリアは1日に約1万人が通るといわれている。街歩きを楽しむ人が多いが、意外に座れる場所が少なかった。この広場には休憩できるベンチがたくさんあるし、Wi‐Fiも利用できるので、出先で仕事をしたいときにも便利。今後は広場で夏祭りを行うなど、地元の方との融和も図っていきたい」(東京急行電鉄 都市創造本部 開発事業部 渋谷開発二部 新屋潤課長補佐)。

 渋谷は2019年以降、南平台プロジェクト、渋谷駅街区東棟、道玄坂一丁目駅前地区、渋谷駅桜丘口地区などが、続々と開業していく予定だ。

「東急ストアフードステーション」の営業時間は7~23時。コンビニサイズの店舗ながら生鮮食品が充実。東急線沿線(横浜地区)を中心とした生産者の直送野菜を提供する「農家の直売所」のコーナーもあり、渋谷の街を意識したスナックも種類が豊富
「東急ストアフードステーション」の営業時間は7~23時。コンビニサイズの店舗ながら生鮮食品が充実。東急線沿線(横浜地区)を中心とした生産者の直送野菜を提供する「農家の直売所」のコーナーもあり、渋谷の街を意識したスナックも種類が豊富
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柱に溶け込むように設置されたインスタレーション(場所や空間全体を作品として体験させる芸術表現)「AXYZ(アクシズ)」。大小計18台の高精細LEDディスプレーと、27台のサウンドシステムによって、時刻、天気、季節などのリアルタイム情報を取り込みながら変化している
柱に溶け込むように設置されたインスタレーション(場所や空間全体を作品として体験させる芸術表現)「AXYZ(アクシズ)」。大小計18台の高精細LEDディスプレーと、27台のサウンドシステムによって、時刻、天気、季節などのリアルタイム情報を取り込みながら変化している
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広場にはゴールデンウイーク期間中、体験型アートを展示。ニシハラ★ノリオ氏の“かぶりものアート”は、自由にかぶることができる
広場にはゴールデンウイーク期間中、体験型アートを展示。ニシハラ★ノリオ氏の“かぶりものアート”は、自由にかぶることができる
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13階は専用の居住空間に加え、キッチンやリビングダイニングなど居住者同士のコミュニティー活動をサポートする共用スペースがある
13階は専用の居住空間に加え、キッチンやリビングダイニングなど居住者同士のコミュニティー活動をサポートする共用スペースがある
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(文/桑原恵美子)