理容店は定期的な来店が見込める業種

 「南氏から『食事や酒、本や衣服などをそろえた市場や街角のような場所で、食事をしたり、買い物をしたり、ただ行き交う人を眺めているだけでもいい』というアイデアを聞き、即座に『やってみたい』と感じた」と松信専務は振り返る。店舗選びは南氏が行い、有隣堂はサポートに徹したという。

 理容ヒビヤを選んだのも南氏だが「理容業は定期的な来店が見込める業種。整髪に訪れた後などに居酒屋を利用することも期待できる」(松信専務)。集客の面でも有隣堂にとってメリットがあると考えたという。

「理容ヒビヤ」は、埼玉県川越市の「理容室FUJII」3代目店主で、日本衛生管理協会の代表理事を務める藤井実氏が手がける。「日本最高峰の衛生管理を目指して作った理容室」(藤井氏)という
「理容ヒビヤ」は、埼玉県川越市の「理容室FUJII」3代目店主で、日本衛生管理協会の代表理事を務める藤井実氏が手がける。「日本最高峰の衛生管理を目指して作った理容室」(藤井氏)という
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理容椅子は1970 年代に使用されていたものを探してレザーを張り替え、金属部分を磨いて再利用している
理容椅子は1970 年代に使用されていたものを探してレザーを張り替え、金属部分を磨いて再利用している
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 店内の世界観を優先し、書籍を扱わないことも考えた。だが、最終的に話題の本を並べて売るのではなく、「このプロジェクトにかかわった10人のクリエーターたちがセレクトした本を売る」というコンセプトに落ち着いた。1人が選べる本は125冊まで。店内の10棹の本棚のなかには、松信専務の選書による本棚もある。

雑貨などを扱う「Library」は、海外の博物館や図書館をイメージした大きな本棚で外壁を表現。内側には世界中の服や雑貨、ビンテージ商品が並ぶ
雑貨などを扱う「Library」は、海外の博物館や図書館をイメージした大きな本棚で外壁を表現。内側には世界中の服や雑貨、ビンテージ商品が並ぶ
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 松信氏が売り上げの柱となると見ているのは、飲食(一角)とアパレル(Graphpaper)の2つだ。「書籍はほとんど置いてないが、あくまでも書店を継続していくための戦略。これからの書店はただ送られてくる本を並べて定価販売するだけではなく、努力が必要」と松信専務は話す。

(文/桑原恵美子)