「書店が手がけた」とは思えないユニークな店内
ヒビヤ セントラル マーケットは東京ミッドタウン日比谷の3階にある。店内を街のように回遊できる設計で、上りエスカレーターからすぐの入口をくぐると、デッドストックをメインに展開するメガネのショップ 「CONVEX」、アパレルショップ「Graphpaper」、理容店「理容ヒビヤ」がある。その向かいには雑貨店「Library」があり、奥の広場のように開けた場所には、居酒屋・定食店の「一角」。反対側の入口にはキオスクのようなスタンドがあり、雑誌や雑貨、コーヒーを販売している。ユニークな店が多く、言われなければ書店が手がけているとは気づかないだろう。
実は、有隣堂は以前から従来の書店を進化させた業態を積極的に手がけている。2015年4月には小田急百貨店 新宿店本館にカフェを併設した業態「STORY STORY」(東京都新宿区)、同年6月には店内にイートインもできるフリースペースを設けた「有隣堂 藤沢本町トレアージュ白旗店」をオープンしている。
同社の松信健太郎専務は、「書店マーケットの縮小は想像を絶する状況」と危機感を覚えたことから、書店の再定義として新しい業態を手がけたという。2店舗ともコンセプトは好評で、新店のオファーにも結び付いた。だが、収益の回復には至らなかったという。
そんなとき、三井不動産から東京ミッドタウン日比谷への出店オファーが舞い込む。「注目度の高い施設だけに、日本中の人に面白いと思ってもらえるような書店を出すチャンス」(松信専務)と考えたという。その際に出会ったのが、南氏だった。