“脱回遊式”商業施設!?

 三菱商事都市開発 商業開発部の田中美和子シニアマネージャーによると、同施設は、「海沿いの倉庫街に街路をつくる」という発想から生まれたオープンモールだという。横浜には駅周辺の百貨店やみなとみらいの巨大商業施設など、ファミリー向けの場所はある。だが感度の高い大人が買い物できる場所が意外に少ないと見て、その空白部分を狙った。

 横浜在住の感度の高い層に足を運んでもらうため、歩いているだけで気持ちの良い非日常感を演出したいと考えたとのこと。「知らず知らずゆっくりと回遊していたという雰囲気を作るために、建物という箱から考えるのではなく、まず街路を作り、そこに集まった個性的なショップが街の顔を作り上げていくイメージにしたかった」(田中シニアマネージャー)。そのため誘致したショップも路面店であることを重視する個性の強い店が自然とそろったそうだ。カジュアルな業態の飲食店が多いのは、「感度は高くても、肩肘張らずに気軽に入れることを意識した」(同)とのこと。

 巨大商業施設では、人気の高いショップをあえて遠くに配置し、施設内を回遊させるように計算しているところが多い。だが同施設ではそうした誘導を避け、自発的に回遊できる雰囲気を作っている。事実、取材が終わっても帰りたくないくらい気持ちのいい空間だった。これからの季節、人気が高まるのは確実だが、心配なのは大勢の人が詰めかけた時、このゆったりした雰囲気がどこまで保てるか。そこが成否の大きなカギとなりそうだ。

施設内のどこにいても、のびのびとした気持ちのいい景色が広がっていた
施設内のどこにいても、のびのびとした気持ちのいい景色が広がっていた
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通路というより、街路と呼びたい空間
通路というより、街路と呼びたい空間
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(文/桑原恵美子)