2016年3月4日(金)に、東京・新宿歌舞伎町にスパイ体感アトラクション「in SPY re(インスパイヤ)」が誕生する。先日その記者発表会があり、一足先に体験してきた。

 インスパイヤは、ヒューマックス(東京新宿区)の娯楽施設などを展開するサンヒルズ(東京都新宿区)が手掛ける、ミッション遂行型タイムアタックアトラクション施設。新宿歌舞伎町にある、ゴジラでおなじみの東宝ビルの斜め向かい、おじさん世代にはディスコ「ニューヨークニューヨーク」や、ライブハウス「リキッドルーム」があったビルといえば分かりやすいかもしれないが、ヒューマックスの施設が多く入ったビルの6階に誕生する。営業時間は午前11時から翌朝5時まで。飲んだ後にも、カラオケの後にも、ふらっと遊びに行けるアトラクションだ。

ミッション遂行型タイムアタックアトラクション施設「in SPY re」の受付。ここで料金を払い、右手奥に進んでIDカードや端末を受けとる。同じフロアにロッカーも用意されているので、荷物を預けて身軽な状態で挑戦しよう
ミッション遂行型タイムアタックアトラクション施設「in SPY re」の受付。ここで料金を払い、右手奥に進んでIDカードや端末を受けとる。同じフロアにロッカーも用意されているので、荷物を預けて身軽な状態で挑戦しよう
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 インスパイヤは、このところ徐々に新しい娯楽の形として浸透しつつある、「リアル脱出ゲーム」などと同様の、謎解きを主体にしたアトラクションで、「単なる謎解きではなく、知力・体力・運を駆使して制限時間内に数多の謎や仕掛けをクリアするリアルゲーム」だと、サンヒルズ代表取締役林祥裕氏は話す。

 総合プロデュースは人見渉氏、謎の制作に謎制作団体Now Reventの曽根智宏氏を迎え作られたシナリオは、世界征服をもくろむ悪の組織「BLACK-MAX」のアジトに、国際諜報機関「inSPYre」のエージェントが挑むというものだ。参加者は、inSPYreのエージェントとなってアジトに潜入、組織の悪事を阻止するためのミッションに挑む、というストーリーが用意されている。

サンヒルズの林祥裕社長が、そのコンセプトと事業内容を説明
サンヒルズの林祥裕社長が、そのコンセプトと事業内容を説明
「in SPY re」の内容や、従来のゲームとの違いを解説する総合プロデューサーの人見渉氏
「in SPY re」の内容や、従来のゲームとの違いを解説する総合プロデューサーの人見渉氏

ゲームは不親切なほどにかなり難解!?

「in SPY re」のキービジュアル。ここに登場しているキャラクターが、実際にイメージキャラクターを務めている
「in SPY re」のキービジュアル。ここに登場しているキャラクターが、実際にイメージキャラクターを務めている
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 参加者は、1~5人のチームでミッションに挑むのだが、複数あるミッションのどれに当たるかは、アジトの扉が開くまで分からない。また、ミッションをクリアするための攻略ルートも複数あり、そのつど複数の違った仕掛けをクリアしなければならない。しかも制限時間は10分。謎はかなり難解で、謎解きに慣れている人でも1度でクリアできるとは限らない。「不親切と言ってもいいくらいに難易度を高くしていますが、ただ難しいのではなく、運や体力などの要素も重視して、もう少しだったのに、という感じで楽しんでもらえるように作りました」と、総合プロデュースの人見渉氏。これは、何度でも挑戦したくなる、何度遊んでも楽しいアトラクションを目指した結果なのだという。

イメージキャラクターの面々。右側の2人がインスパイヤのエージェント、左側の6人が悪の組織「BLACK-MAX」の幹部たち
イメージキャラクターの面々。右側の2人がインスパイヤのエージェント、左側の6人が悪の組織「BLACK-MAX」の幹部たち
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 施設は悪の組織のアジトらしい演出が随所に仕掛けられているだけでなく、プロレスラーや俳優を使ったイメージキャラクターによる映像や、彼らキャラクターもアトラクションに登場するといった演出が施されていて、エンターテインメント制作の本気度が伝わってくる。チーム戦ではあるが、顔認識システムを使って、チーム内の個人の貢献度などもデータとして蓄積されてポイントが加算されるなど、細部までよく練られている。

悪の幹部の紅一点、パープルを演じるのはサンヒルズ社員。「だから一番偉いんです(笑)」と人見氏は話す
悪の幹部の紅一点、パープルを演じるのはサンヒルズ社員。「だから一番偉いんです(笑)」と人見氏は話す
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スパイのコスプレで気分を盛り上げて挑戦したい。記者発表会でスパイ姿でポーズを決めてくれた女性2人は、「ふ~ふ」というコンビ名の芸人だ(左:内田彩菜、右:柴田楓)
スパイのコスプレで気分を盛り上げて挑戦したい。記者発表会でスパイ姿でポーズを決めてくれた女性2人は、「ふ~ふ」というコンビ名の芸人だ(左:内田彩菜、右:柴田楓)
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体験でミッションクリアはゼロだった!!

 記者発表会では、実際にアトラクションを体験できたが、確かに難しい。50人ほどの取材陣が挑戦したが、ミッションをクリアできたチームは一つもなかったようだ。もちろん、筆者のチームも惨敗。

 しかし、敵アジトの潜入口でIDカードをかざして顔認識をし、リアルなムービーによる指令が映し出され、タブレット端末にミッションをクリアするためのヒントが表示されたら扉が開いて敵アジトの中へ、といった仰々しい演出の流れは、十分ワクワクさせてくれる。

 また、ミッションクリアのためには単に謎を解くのではなく、ヒントに応じてアジトの中の工作員に声をかけたり、暗号を解いたり、探しものをしたり、さらに、与えられたミッションによっては、スパイ映画でおなじみのレーザー光による防衛システムをかいくぐって部屋の奥のボタンを押す、といったアクションも必要となるなど、アジト内での行動はバリエーションが豊富。チーム内で手分けしたり、相談したり、時には別チームの人と情報交換するといったコミュニケーションが重要になるなど、実際に人と人とが集まって行うゲームならではの楽しみ方が仕掛けられている。

敵アジトの中は意外に広く、制限時間もあるから結構動き回る必要がある
敵アジトの中は意外に広く、制限時間もあるから結構動き回る必要がある
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このように狭い通路に上ることもできる
このように狭い通路に上ることもできる
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レーザーをかいくぐって、奥の赤いボタンを押せ!
レーザーをかいくぐって、奥の赤いボタンを押せ!
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扉を開けるには暗号を解いてパスワードを入力しなければならない
扉を開けるには暗号を解いてパスワードを入力しなければならない
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 謎の詳しい内容はまだ公開できないのだが、細部にわたって作り込まれている施設内を謎解きのためにウロウロしているだけでもかなり面白い。問題は、謎自体が難しいのに制限時間が10分しかないということだろう。何回かチャレンジして、謎のパターンを読み取ったり、他の人から情報を得て再挑戦するなどしなければクリアは難しい。1回1人980円なので、つい、うっかり何度も挑戦したくなる。

悪の組織オススメのカフェメニューで一休み

カフェスペースも悪のアジトのムードで作られている
カフェスペースも悪のアジトのムードで作られている
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 施設内には、アトラクションだけでなくカフェレストランも用意されている。しかし、ここもただのカフェではない。何といっても、施設全体が悪の組織BLACK-MAXのアジトという設定なので、カフェもアジト内の食堂ということになっている。カフェには、ソーセージ盛り合わせ(650円)、カツカレー(850円)、ふわとろオムライス(850円)といった普通のメニューの他に、BLACK-MAXの構成員たちの好物「BLACK-MAX SELECTION」メニューも用意されている。彼らは高タンパクな虫が大好物だそうで、真っ黒なソースにイモムシをトッピングした「ブラックカレー」(850円)、「ブラックパスタ」(700円)や、「175(イナゴ)」(300円)などがそろう。また、東京、吉祥寺の名店の逸品といわれる「MT29ソーセージ」(900円)や、スタッフが絶賛するカレーなど、一度は試してみたいメニューも豊富だ。

ズラリと並ぶフードメニュー。どれもかなりしっかりと作られている。量も一人前としては十分だ。手前列の中心にあるのはスタッフが「これは本当においしいですよ」と絶賛したカツカレー(850円)
ズラリと並ぶフードメニュー。どれもかなりしっかりと作られている。量も一人前としては十分だ。手前列の中心にあるのはスタッフが「これは本当においしいですよ」と絶賛したカツカレー(850円)
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 ミネストローネ(280円)、クラムチャウダー(280円)などのスープやフォンダンショコラ(500円)、ソルベ(280円)などのデザート、ワインやオリジナルカクテル、ビールにハイボール、ノンアルコールカクテルまでそろうので、挑戦後にカフェでミーティングして再挑戦といった遊び方もできる。コンセプトの“何度でも挑戦できる、そして挑戦したくなるアトラクション”というのは、そういうことなのだろう。

ブラックマックスの構成員たちが好物だという「BLACK-MAX SELECTION」メニューには、イモムシやイナゴを使った料理も
ブラックマックスの構成員たちが好物だという「BLACK-MAX SELECTION」メニューには、イモムシやイナゴを使った料理も
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 インスパイヤは、総工費3億円、年間来場者数見込み22万人、年間売り上げ見込み3億6千万円。今後の展開として、横浜、大阪、名古屋、札幌、福岡に出店を予定し、アジアを中心に海外にもFC展開を考えているという。

 筆者が感じたところだと、アトラクションの対象年齢は、中学生以上、主に20代から50代といった感じだ。この高難易度の謎に、どれだけの人が興味を持つかにかかっていると感じた。制限時間10分は短すぎるような気がするのだ。もっとも、謎の設定でストーリーを大きく変えることもできるし、「将来はインスパイヤの基地を舞台にするといったこともアリだ」と人見氏も語っていた。また、英語、中国語(繁体字、簡体字)にも対応していて海外からの観光客も受け入れられるように作られているのも、「謎」が共通言語になっているようで面白い。当初2月7日にオープンする予定だったが、さらにグレードアップするために3月4日オープンに変更したほどの気合の入れように期待したい。生まれ変わろうとする歌舞伎町の名物になるのだろうか。

(文・写真/納富廉邦)