近年、老朽化が進んだ鉄道高架橋の耐震工事が次々に完成し、拡張した高架の下にできたスペースを有効活用した新施設がオープンして話題となっている(関連記事「“超個性派店”がゆるやかにつながる中目黒高架下」)。2016年12月に新宿駅の甲州街道高架下にオープンしたカフェ&クリエイティブスペース「サナギ 新宿」(以下、サナギ)もそのひとつだ。
国道20号とJR路線との交差部にある新宿跨線橋は、大正14(1925)年の架設で老朽化が進んでいた。そこで国交省とJRが共同で進めていた新宿駅南口地区基盤整備事業の一環として架け替え工事が実施され、そこに新たに生まれた空間を有効活用するために作られたのが今回の施設だ。
新宿区は国交省など関係機関と連携し、国内外からの来訪者の利便性向上、地域への回遊促進、にぎわいの創出・地域活性化を図ることを目的に、公募型プロポーザルを実施。観光案内所などを含めた全体の整備は公募選定事業者のルミネが行い、サナギはルミネが委託したポトマックが運営する。
同施設では、「フード」「インキュベーション」「イベント」の3つを軸に展開する予定。「インキュベーション」とは、サナギ施設内での作品展示やDJパフォーマンス、デジタルアートの上映などによる次世代クリエイターなどの支援。「イベント」とは、施設前面にあるイベントスペースを活用したコミュニティ作り、カルチャー体験などのことだ。果たしてこうした戦略で、狙いどおりの集客は可能なのか。オープン前日の内覧会で探った。