ネットワークに5Gを用い「低遅延」をアピール

 今回のストリーミング配信は、ニューヨークとロンドンの映像および音声を、専用のネットワークを通じて東京の会場に送り、それらを東京でのパフォーマンスと合成して配信する仕組みになっている。そこに用いられている技術は大きく2つある。

 1つは、NTTグループが研究を進めている、あたかもその場にいるかのような臨場感を実現するという伝送技術「Kirari!」。今回はその中核となる映像・音声の同期技術「Advanced MMT」を用いることで、遅延のない映像を実現したという。

 そしてもう1つは、次世代の通信方式である5Gだ。実はニューヨークのネットワークはすべて固定回線を利用していたのだが、ロンドンは固定回線に加えて、会場に設けられた5Gの試験ネットワークを間に挟む構成だった。あえて5Gを挟んだのは、その特徴の1つである「低遅延」の実力をアピールする狙いがあったという。

ロンドンの会場の一画に設置された5Gの基地局。28GHz帯の電波を用いている。写真は11月8日の「FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。」より
ロンドンの会場の一画に設置された5Gの基地局。28GHz帯の電波を用いている。写真は11月8日の「FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。」より
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十数メートル離れた位置で基地局からの電波を受信していた5Gの移動機。通信速度は常時10Gbps前後を保っていたようだ。写真は11月8日の「FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。」より
十数メートル離れた位置で基地局からの電波を受信していた5Gの移動機。通信速度は常時10Gbps前後を保っていたようだ。写真は11月8日の「FUTURE-EXPERIMENT VOL.01 距離をなくせ。」より
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 5Gは下り最大20Gbpsの高速・大容量通信だけでなく、1平方キロメートルの範囲内で100万台もの端末を同時接続できる「多接続」、そしてネットワーク遅延が0.5ミリ秒と小さいことも大きな特徴。そのため5Gは、自動運転や遠隔医療など、遠隔地から機器を操作する目的での利用が期待されている。繊細な操作が求められる場面ではネットワーク遅延によって機器の操作にずれが生じると、大きな事故にもつながりかねないからだ。

 もっとも5Gによる商用サービスはまだ始まっておらず、現状は試験的な利用にとどまる。今回5Gが用いられた区間も会場の端から端まで、せいぜい数十メートル程度の距離だ。ところが仮にこの区間を現在主流の4Gに置き換えた場合、50ミリ秒ほど、つまり100倍近いネットワーク遅延が発生するという。今回のライブ配信でロンドンからの映像に遅延が生じなかったことは、5Gが固定回線並みの低遅延を実現していることを証明していると言えよう。