販売数を伸ばす絶妙な価格設定

 iPhone XRを上位の2機種と比較すると、アップルの絶妙な仕掛けが見て取れる。

 1つは価格設定だ。iPhone XS/XS Maxは、販売数ではなく、ブランド力を高めることに注力したモデルだと筆者はみる。その一方で、販売数を増やすことを狙ったのがXRなのだ。

 スマートフォンとして見れば決して安くないXRも、高額なXS/XS Maxが存在することで、消費者は「XS/XS Maxに比べれば安い」と思ってしまう。また、XS/XS Maxが先に発売されたことで、ある種の“飢餓感”をあおられたアップルファンも多いのではないだろうか。

 これはあくまで筆者の推論で、アップルがマーケティング上の理由からXRの発売を遅らせたかどうかは定かではない。実際、各種報道を見ると、部材調達や開発の遅れなどが要因として挙げられている。だが、発売の遅れが結果としてXRの販売にプラスに働いたのは間違いない。

iPhone XRは、大手キャリア(電気通信事業者)で購入して各種値引きを適用すれば、端末代を実質4万~5万円程度に抑えることもできる。写真は2018年9月21日の「NTTドコモ・iPhone XS、iPhone XS Max、Apple Watch Series 4 発売記念セレモニー」より
iPhone XRは、大手キャリア(電気通信事業者)で購入して各種値引きを適用すれば、端末代を実質4万~5万円程度に抑えることもできる。写真は2018年9月21日の「NTTドコモ・iPhone XS、iPhone XS Max、Apple Watch Series 4 発売記念セレモニー」より
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 iPhone XRの販売数を伸ばすためのもう1つの仕掛けは、端末のストレージ容量である。新モデルのストレージ容量を見ると、iPhone XS/XS Maxが64GB、256GB、512GBの3種類となっているのに対し、XRは64GB、128GB、256GBの3種類だ。ネットワークの発達でクラウドストレージやストリーミングが広く利用されるようになった現状では、以前ほど大容量のストレージが求められなくなっているように思う。XRは、「64GBでは心もとないが、256GBまでは必要ない」という消費者に刺さるバランスになっているのだ。